チャットAIの提案書と何が違うのか
ChatGPTなどのチャットAIに「提案書を作って」と頼んだ経験のある方は、「それらしいが、うちの提案ではない」ものが返ってきたはずです。原因は能力ではなく文脈の不足です。良い提案書は、自社のサービス内容・価格・過去の勝ちパターン・顧客の業界事情の上に成り立ちますが、チャットAIはそれを知りません。
Claude Codeが提案書づくりに向いているのは、この文脈をフォルダごと持たせられるからです。過去の提案書・事例集・価格表を置いたフォルダの中で作業させれば、自社の資産を参照しながら新しい提案書を組み立てます。さらに、構成テンプレートや表現ルールをSkillとして固定すれば、作る人によらず品質が揃います。
先に用意する「提案ナレッジ」— これが品質の8割を決める
ワークフローの前に、Claude Codeに持たせる材料を整備します。最初から完璧である必要はありませんが、次の4点が揃うと出力の質が目に見えて変わります。
- 過去の提案書(勝ち案件を優先) — 受注につながった提案書を3〜5本。構成・訴求・粒度のお手本になる
- サービス説明と価格表 — 提供内容・体制・価格の正確な情報。AIに推測させてはいけない部分
- 事例・実績の一覧 — 案件ごとの課題・提供内容・成果。提案書の「実績」パートの素材になる
- 表現ルール — 自社のトーン、使わない表現、表記ルール。CLAUDE.mdに書いて毎回参照させる
ナレッジ整備は遠回りに見えて最短ルート
「AIに教えるために勝ちパターンを言語化したら、属人化していた提案ノウハウがチームの資産になった」——これは研修先で繰り返し起きていることです。この整備のプロセス自体に、提案書の自動化と同じくらいの価値があります。整備の進め方は非エンジニアがClaude Codeを業務基盤にする4ステップで解説しています。
実践ワークフロー — 5ステップ
- 1ヒアリングメモを渡す — 商談の録音書き起こしや走り書きのメモをそのまま渡す。きれいに清書する必要はない
- 2課題を構造化させる — 「このメモから、顧客の課題・背景・意思決定者の関心事を整理して」。ここで人が内容を確認・修正する
- 3構成案を先に合意する — いきなり本文を書かせず、目次と各ページの要旨だけ出させて方向性を固める。手戻りが最も減るポイント
- 4ドラフトを生成させる — 合意した構成に沿って、提案ナレッジ(事例・価格・過去提案)を参照させながら本文を書かせる
- 5人が仕上げる — 数字・固有名詞・お客様固有の事情の最終確認は人の仕事。AIの出力を無確認のまま社外に出さないのは鉄則
hearing_0712.md は昨日の商談メモです。
1. 顧客の課題を「業務上の困りごと」と「経営上の狙い」に分けて整理して
2. 課題整理をもとに、提案書の構成案(目次+各ページの要旨)を作って
- 構成は proposals/ にある過去の提案書の型に合わせる
- 事例は cases.md から、この顧客の業界に近いものを選んで
本文はまだ書かないで。構成を確認してから進めます。ポイントは最後の一行です。「まだ書かないで」と工程を区切ることで、方向違いの大作が出来上がってから直す、という最大のムダを防げます。
スライドへの落とし込み — どこまで自動化できるか
提案本文がまとまったら、体裁への落とし込みです。現状の現実的な選択肢は次の3つです。
- Markdown/Wordの提案書として仕上げる — 文書形式の提案で足りる商談なら、ここで完結。最も速い
- HTMLスライドを生成させる — Claude Codeはデザイン込みのHTMLスライドを直接作れる。ブラウザでそのまま投影でき、PDF化も可能
- スライド原稿を作らせてPowerPointは人が組む — 会社指定のテンプレートがある場合の定番。ページごとの見出し・本文・図の指示まで作らせれば、人の作業は「流し込みと調整」だけになる
品質を安定させる — Skill化とチェックリスト
ワークフローが回り始めたら、個人の技から仕組みに変えます。構成テンプレート・参照すべきナレッジ・工程の区切り方をひとまとめにした「提案書作成Skill」を作っておくと、誰が実行しても同じ手順・同じ品質で走るようになります。作り方はClaude CodeのSkillsの作り方をご覧ください。
あわせて、出荷前チェックリストを固定します。最低限、次の4点は毎回の確認項目にすることを推奨します。
- 数字の検算 — 価格・工数・スケジュールが価格表・体制と一致しているか
- 固有名詞 — 顧客名・担当者名・製品名の誤りがないか
- 事例の記載範囲 — 顧客実名や詳細を出してよい範囲か、公開情報の範囲に収まっているか
- 約束の言葉 — 「必ず」「保証」など、意図しないコミットになる表現が紛れていないか
こうした「AIの出力を社外に出す前のルール」は、提案書に限らず全社で共通化しておくべきものです。ルールの作り方はClaude Codeの禁止事項と社内ルールの作り方にまとめています。
提案書は「業務自動化の入り口」に最適
提案書作成の自動化は、効果がわかりやすく(作成時間の短縮が誰の目にも見える)、必要な整備(ナレッジの言語化)がそのまま他の業務にも効くため、営業部門のAI活用の入り口として最適です。ここで作った事例集やサービス説明は、見積書・報告書・Webコンテンツの自動化にもそのまま使い回せます。他の業務での活用イメージはClaude Codeの活用事例をご覧ください。
自社の提案プロセスとナレッジに合わせたワークフロー設計・Skill構築は、Claude Code法人研修で、実際の案件資料を使いながら伴走支援しています。
Claude Codeを組織に定着させたい企業様へ。AI Orchestraの法人研修・伴走支援をご覧ください。





