Amazon Bedrock経由とは — サブスクではない第3の契約ルート

Claude Codeを使うルートは、個人プラン(Pro/Max)・法人プラン(Team/Enterprise)といったAnthropic社とのサブスクリプション契約が基本形です。これに加えてもう1つ、AWSのマネージドAIサービスであるAmazon Bedrockを通じて、API従量課金で使うルートがあります。Claude Codeが公式に対応しており、認証先をAWSに切り替えるだけで、普段と同じClaude Codeがそのまま動きます。

  • 契約先がAWSになる — Anthropic社と新たに契約せず、既存のAWSアカウントの範囲内で利用できる。請求もAWSの利用料に合算される
  • 課金がトークン従量制になる — 月額定額ではなく、使ったトークン量に応じた課金。使わない月は費用がかからない
  • 認証がAWS IAMになる — 誰が使えるかをIAMポリシーで制御する。既存のSSO・権限管理の仕組みがそのまま効く

この記事はBedrock経由の構成に絞っています

サブスクリプション各プランを含めた法人契約ルート全体の比較はClaude Codeの法人契約を、通常プランの料金詳細はClaude Codeの料金をご覧ください。

法人がBedrock経由を選ぶ4つの理由

Bedrock経由の価値は「安いから」ではなく、AIの利用を会社の既存統制の中に置けることにあります。情報システム部門の視点で効く順に挙げます。

  • 調達・請求がAWSに一本化される — 新規ベンダーとの契約手続きが不要で、稟議・支払いサイクルは既存のAWS利用の延長。部門別のコスト配分もAWSのコスト管理ツールで行える
  • アクセス統制をIAMで行える — 利用者の追加・削除・権限変更が既存のID管理(SSO連携含む)に乗る。退職時のアカウント処理も通常のAWS運用と同じ
  • データがAWSの境界内で完結する — AWSの公式FAQは、Bedrockへの入力・出力をモデルの学習に使わないこと、モデル提供元(Anthropic社を含む)と共有しないことを明記している(2026年8月時点)。VPC・AWS PrivateLink経由の閉域接続にも対応する
  • 監査の仕組みを流用できる — API呼び出しはAWS CloudTrailに記録され、既存の監査・ログ基盤で追跡できる。利用状況の可視化は監査ログの取り方で解説している方法と組み合わせられる

なお、プロンプトの内容チェックや権限設定といったツール側の安全対策はサブスク利用と共通です。全体像はセキュリティ対策の実務をご覧ください。

料金体系 — トークン従量課金の仕組みと単価の目安

Bedrock経由の料金は使ったトークン量 × モデルごとの単価で決まります。参考として、Anthropic社公式の標準単価(100万トークンあたり・2026年8月時点)は次のとおりです。Bedrock側の正式な単価はモデル・リージョンで異なる場合があるため、Amazon Bedrockの料金ページで最新を確認してください。

表は横にスクロールできます →

モデル入力(100万トークン)出力(100万トークン)
Claude Opus 55ドル25ドル
Claude Sonnet 4.63ドル15ドル
Claude Haiku 4.51ドル5ドル
  • プロンプトキャッシュで大幅に下がる — 繰り返し参照される部分のキャッシュ読み込みは通常入力単価の10分の1。Claude Codeは自動でキャッシュを使うため、実効単価は表の額面より下がるのが普通
  • リージョン固定は1割増 — 特定リージョン内での処理を保証するリージョナルエンドポイントは、グローバルエンドポイントに対して10%の割増(2026年8月時点)。データ所在地の要件がある場合はこの前提で見積もる
  • 上限管理は自社側の責務 — 定額プランと違い使った分だけ青天井になり得るため、AWSの予算アラートやコスト配分タグでの監視をセットで設計する

サブスクリプションとの損益分岐は利用量次第です。毎日フル稼働で使う開発者が多いほど従量課金は割高になりやすく、逆に「使う人・使う時期が限られる」「まず統制の枠内で小さく検証したい」段階では従量課金が合理的です。定額プラン側の料金感覚はClaude Codeの料金と見比べてください。

AWS Marketplace経由の「Claude Platform on AWS」も登場

2026年にはBedrockとは別に、AWS Marketplaceを通じてAnthropic社が運営するサービスに請求だけAWSへ合算するClaude Platform on AWSという選択肢も加わりました(2026年8月時点)。「請求をAWSにまとめたいが、機能はAnthropic直営と同じものを使いたい」場合の中間ルートです。要件が当てはまる場合はAnthropic社・AWSの担当窓口に相談してみてください。

セットアップの流れ

セットアップはAWS側の準備とClaude Code側の設定の2段階です。個人で試す分にはログインウィザードで完結します(2026年8月時点の手順)。

  1. 1AWS側でモデルアクセスを申請する — Amazon Bedrockのコンソールでモデルカタログを開き、Anthropicのモデルを選んでユースケースフォームを送信する。AWSアカウントごとに1回で、送信後すぐ利用可能になる
  2. 2IAM権限を付与する — 利用者(またはロール)に bedrock:InvokeModel などモデル呼び出しの権限を付ける。公式ドキュメントにポリシー例が掲載されている
  3. 3Claude Code側で認証先を切り替えるclaude 起動時のログイン画面で「3rd-party platform」から「Amazon Bedrock」を選ぶと、ウィザードがAWSプロファイルの検出からモデルの確認・固定まで案内してくれる。設定済みの環境では /setup-bedrock でいつでも開き直せる
環境変数での手動設定(CI・チーム一斉配布向け)
# Bedrock連携を有効化
export CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1
export AWS_REGION=us-east-1

# チーム展開ではモデルを明示的に固定する(クロスリージョン推論プロファイルID)
export ANTHROPIC_MODEL='us.anthropic.claude-sonnet-4-6'

AWSへの認証はAWS標準の資格情報チェーンをそのまま使います。SSOプロファイル・アクセスキー・Bedrock専用のAPIキーのいずれにも対応しているため、社内の既存のAWS認証運用に合わせられます。

チーム展開でつまずきやすい5つのポイント

  1. 1モデルを固定(ピン留め)してから配る — モデル未指定だとClaude Code側の既定値で動き、バージョンアップのタイミングを自社で制御できない。2026年8月時点の既定の主力モデルはClaude Opus 5で、Sonnet系より単価が高い。どのモデルをいくらで使うかは配布前に決めて環境変数で固定する
  2. 2Web検索ツールは使えない — Bedrock経由ではClaude Code内蔵のWeb検索が利用できない(2026年8月時点)。最新情報の調査を伴う使い方が多いチームは影響を確認しておく
  3. 3プロンプトキャッシュのリージョン対応を確認する — キャッシュが使えないリージョンではコストが想定より膨らむ。キャッシュトークンが計上されているかを導入初期に確認する
  4. 4入出力のフィルタリングはGuardrailsで足せる — Amazon Bedrock Guardrailsを設定すると、組織のポリシーに沿った内容フィルタをAPI呼び出しに適用できる
  5. 5専用のAWSアカウントに分離する — 公式ドキュメントもコスト追跡とアクセス制御を単純にするため専用アカウントの作成を推奨している。既存ワークロードと混ぜない

向いているケース・向かないケース

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向いているケース向かないケース
AWSの請求・IAM・監査の統制がすでに整備されているAWSをほとんど使っておらず、統制基盤から作ることになる
新規ベンダー契約の稟議より、既存クラウド枠での調達が早い少人数で毎日ヘビーに使う(定額サブスクの方が割安になりやすい)
データをAWS境界内で完結させる要件・閉域接続の要件があるWeb検索など、サブスク版の全機能を前提にした使い方をしたい
利用者・利用量が読めず、まず従量課金で小さく検証したい環境変数やIAMの設計を担える情報システム部門の関与が得られない

判断の軸はシンプルで、「自社の統制の重心がどこにあるか」です。AWSに統制が集約されている会社ほどBedrock経由の価値は大きく、そうでなければ法人プラン(Team/Enterprise)の方が導入も運用も軽くなります。導入形態を含む事前の確認項目は導入前チェックリストにまとめています。

当社のClaude Code法人研修は、サブスクリプション利用だけでなくBedrock経由の構成にも対応しています。契約ルートの選定から権限設計・社内ルールづくりまで、自社の統制要件に合わせた導入を伴走支援しますので、構成選びの段階からお気軽にご相談ください。

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