前提 — セッションごとに記憶はリセットされる
Claude Codeの各セッションは、毎回新しいコンテキスト(作業記憶)で始まります。前回の会話は引き継がれません。この「忘れる」性質を補うために、セッションをまたいで知識を残す仕組みが2つ用意されています(2026年7月時点の公式仕様)。
表は横にスクロールできます →
| CLAUDE.md | auto memory | |
|---|---|---|
| 書く人 | 人間(あなた) | Claude自身 |
| 中身 | 指示・ルール | 作業から得た学び・パターン |
| 読み込み | 毎セッション開始時に全文 | 毎セッション開始時に索引(MEMORY.md)の先頭部分 |
| 使いどころ | コーディング規約・プロジェクト構成・作業ルール | ビルドコマンド・デバッグの知見・訂正から学んだ好み |
ひとことで言えば、CLAUDE.mdは「守らせたいことを人が書く」、auto memoryは「気づいたことをClaudeが書く」。方向が逆の、補い合う関係です。
CLAUDE.md — 人が書いて毎回読ませる指示書
CLAUDE.mdは、セッション開始時にClaudeが必ず読み込む指示ファイルです。全プロジェクト共通の内容は ~/.claude/CLAUDE.md、プロジェクト固有の内容はリポジトリ直下の CLAUDE.md に置きます。「同じ説明を2回した内容」「同じ間違いを2回された内容」を書き留めていくのが基本です。
何をどう書くべきか——書くべき項目とアンチパターン——はCLAUDE.mdの書き方で詳しく解説しているので、本記事ではもう1つの仕組みであるauto memoryを中心に扱います。
auto memory — Claudeが自分で書く学習メモ
auto memoryは、Claudeが作業中に「これは次回も使える」と判断した情報を、自分でファイルに書き溜めていく仕組みです。標準で有効になっており、あなたが何かを設定しなくても、ビルドコマンド・プロジェクトの構造・あなたからの訂正内容などを学びとして保存していきます。画面に「Saved 2 memories」「Recalled 2 memories」といった表示が出たら、Claudeがメモを保存・参照した合図です。
保存先はプロジェクトごとに分かれていて、~/.claude/projects/ 配下の専用フォルダに置かれます。中心になるのは索引ファイルの MEMORY.md で、先頭200行(または25KB)だけが毎セッション開始時に読み込まれます。詳細なメモはトピック別のファイル(例: デバッグの知見・API設計の決定事項)に分けて保存され、必要になったときにClaudeが自分で読みに行きます。
auto memoryは「そのPCの中だけ」の記憶
auto memoryはマシンローカルの仕組みです。同じリポジトリなら作業フォルダ(worktree)をまたいで共有されますが、別のPCやクラウド実行環境には引き継がれません。チーム全員に共有したい知識は、auto memoryではなくリポジトリにコミットするCLAUDE.mdに書く、という使い分けが必要です。
/memoryコマンドで確認・編集・オフにする
「Claudeが何を覚えたのか」は、セッション中に /memory コマンドで確認できます。CLAUDE.mdやauto memoryのファイル一覧が表示され、選択するとエディタで開いて直接編集できます。メモはすべて普通のマークダウンファイルなので、間違った内容や古くなった内容は人がその場で直したり消したりできます。
auto memoryを使いたくない場合は、/memory 内のトグルでオフにできるほか、設定ファイルで無効化することもできます。
{
"autoMemoryEnabled": false
}使い分けの指針 — 指示・学び・強制の3層
- 守らせたいルール → CLAUDE.md: 人が決めた規約・禁止事項・作業手順。チーム共有もこちら
- Claudeが見つけた事実 → auto memory: 「このプロジェクトはテストの前にこのコマンドが要る」のような、作業から得た知見の蓄積は任せる
- 絶対に実行させたい・止めたい処理 → hooksや権限設定: メモリはどちらも「読んで従う」文脈であり、100%の強制力はない。確実性が必要ならhooksで機械的に制御する
また、メモリは増やせば増やすほど良いものではありません。読み込む情報が多いほどコンテキストを消費し、指示の遵守率も下がります。「何を読ませ、何を読ませないか」という設計の考え方はコンテキストエンジニアリングの原則で詳しく解説しています。
法人運用での注意点 — メモリは「古くなる」
- 定期的に棚卸しする: auto memoryには保存時点の情報が残る。仕様変更や方針転換のあとは
/memoryで中身を確認し、古い記述を消す運用をルール化する - 事実の正本はファイルに置く: ルールや仕様の正式版はリポジトリ内のドキュメントで管理し、メモリを唯一の情報源にしない。メモリが古くても、正本を読めば正しい状態に戻れる構造にしておく
- 機密情報を書かせない: APIキーや顧客情報のような機密は、CLAUDE.mdにもauto memoryにも残さない。扱いのルールはセキュリティ設計の一部として決めておく
こうした「何をどこに記憶させ、何をさせないか」の設計は、Claude Codeを組織で安定運用するための土台です。当社のClaude Code研修では、CLAUDE.md・メモリ・hooksを組み合わせたナレッジ管理の設計を、各社の実務に合わせて構築するところまで支援しています。
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