なぜExcel作業とClaude Codeの相性が良いのか
チャットAIにExcelファイルを添付して頼む方法との違いは、Claude Codeが手元のファイルをそのまま読み書きできることです。仕事のExcel作業に効く性質を挙げます。
- ファイルを直接扱える — フォルダに置いたExcel・CSVをそのまま開き、結果も新しいファイルとして保存される。アップロードとダウンロードの往復がない
- 複数ファイルの一括処理が得意 — 「このフォルダの50個の報告書から売上欄だけ抜き出して1枚にまとめて」のような、人手では気が遠くなる作業ほど差が出る
- 手順がコードとして残る — 転記や突合はAIの目視ではなく、AIが書いたプログラムの実行結果として返ってくる。翌月は同じ手順を再実行するだけで終わる
この記事は「ファイル操作」編です
本記事はExcelファイルそのものの操作——転記・整形・突合・変換——に絞っています。集計・クロス集計・グラフ化・月次レポート作成といったデータ分析は、Claude Codeでデータ分析を自動化するで別途解説しています。
できることの具体例
- フォーマット間の転記 — 自社の管理表から取引先指定の様式へ、列の対応を指示して写し替える
- 整形・クレンジング — 「株式会社」と「(株)」の統一、全角半角の統一、日付形式の揃え直し、不要列の削除
- ファイルの分割・結合 — 部署別に分かれた同じ様式のファイルを1枚に結合する、逆に1枚を担当者別に分割する
- 2つのファイルの突合 — 請求一覧と入金明細を付き合わせ、一致・不一致・漏れを仕分けする
- 形式変換 — 基幹システムから出力したCSVをExcelの報告様式へ、またはその逆へ変換する
- 既存ブックの解読 — 引き継いだ複雑なブックのシート構成・数式のつながりを説明させ、仕様書に起こす
実践ワークフロー — 請求書と入金明細の突合を例に
月末の定番作業である「請求と入金の消し込み」を例に、実際の流れを見てみます。
- 1ファイルをフォルダに置く — 作業用フォルダを1つ決め、請求一覧のExcelと、ネットバンキングから出力した入金明細CSVを置く
- 2日本語で指示する — 突き合わせのキー(何と何が一致したら同じ取引か)と、欲しい結果を伝える
- 3Claude Codeが処理を実行する — 突合プログラムの作成と実行はAIが行い、一致・不一致の仕分け結果が返ってくる
- 4不一致だけ人が見る — 「振込名義が微妙に違う」「複数請求がまとめて入金されている」など、判断が要る行だけが手元に残る
- 5手順を保存する — 固まったやり方をスクリプトとして保存してもらえば、翌月は新しいファイルを置いて再実行するだけ
seikyu_2026-07.xlsx は7月の請求一覧です。
列: 請求番号, 取引先名, 請求金額, 支払期日
nyukin_2026-07.csv は銀行の入金明細です。
列: 日付, 振込名義, 入金額
1. 取引先名と金額で突き合わせて、入金を確認できた請求に「入金済」列を付けて
2. 金額が一致しない請求・入金が見つからない請求・どの請求とも対応しない入金を、それぞれ一覧にして
3. 元ファイルは変更せず、結果は totsugo_2026-07.xlsx に出力してポイントは2つです。1つ目は、突合のキーと列の意味を最初に伝えていること。人に引き継ぐときと同じで、前提を一言添えるだけで精度が大きく変わります。2つ目は、元ファイルを変更せず結果を別ファイルに出させていること。振込名義の「カ)」のようなカナ表記と取引先名の対応づけといった曖昧な照合もこなしてくれますが、だからこそ結果を元データと分けておき、人が不一致リストを確認してから反映する流れにしておくと安全です。
公式のExcelスキルで数式・書式を保って編集する
「AIにExcelを触らせると数式や書式が壊れるのでは」という不安には、公式の対策があります。Anthropicはスキル集リポジトリ(GitHubの anthropics/skills)で、Excelファイルを扱うための公式スキル(xlsx)を公開しています(2026年8月時点)。数式・書式・シート構成を保ったままExcelファイルを作成・編集するための手順書のようなもので、Claude Codeにはプラグインとして追加できます。Excelファイルを頻繁に扱うなら、最初に入れておくことをおすすめします。スキルという仕組み自体の解説はClaude CodeのSkillsの作り方をご覧ください。
アドイン版「Claude for Excel」との使い分け
AnthropicはExcelの画面内で使えるアドインClaude for Excelも提供しています(2026年8月時点で有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)向けに一般提供。web版・Windows・Mac・iPadのExcelに対応)。「claude code excel」で調べるとこの2つが混ざって出てきますが、役割が違います。
表は横にスクロールできます →
| 観点 | Claude for Excel | Claude Code |
|---|---|---|
| 作業場所 | Excelの画面内(サイドバー) | ターミナル(ファイルを直接操作) |
| 得意なこと | 開いているブックの質問・修正・数式の解説 | 複数ファイルの一括処理・転記・突合・定型作業の自動化 |
| 向いている場面 | 1つのブックを対話しながら仕上げる | 毎月同じ手順を繰り返す・ファイルをまたぐ |
目安として、1つのブックの中で完結する作業はアドイン、ファイルをまたぐ作業と毎回繰り返す作業はClaude Codeが向きます。なおClaude for Excelはマクロ(VBA)やデータテーブルに非対応です(2026年8月時点)。古いマクロ資産の読み解きや置き換えの検討は、コードを直接扱えるClaude Code側の仕事になります。
実務に載せるときの注意
- 1元ファイルを直接上書きさせない — 出力は必ず別ファイルにし、確認してから差し替える。慣れるまでは作業用フォルダにコピーを置いて試す
- 2検算ポイントを決める — 転記なら行数と合計金額が元と一致するか、突合なら「一致+不一致+漏れ」の合計が全件数と合うか。数字の突き合わせを1つ決めておくだけで安心感が変わる
- 3マクロ付きファイル(xlsm)は挙動確認を — マクロを含むブックの編集は、保存形式によってマクロが失われることがある。編集後にマクロが動くかを必ず確認する
- 4取引先データ・個人情報の線引きを決める — 請求データや顧客名簿を扱う前に、入力してよいデータの範囲を社内で決めておく。線引きの作り方は禁止事項と社内ルールの作り方とセキュリティ対策で解説しています
「毎月の手作業」から「ファイルを置くだけ」へ
同じExcel作業を3回以上繰り返しているなら、型にするサインです。手順をスキルとして保存すれば「7月分の突合やって」の一言で再現でき、さらに定期実行と組み合わせれば、所定のフォルダにファイルを置くだけで毎月自動で処理が回る状態まで持っていけます。手作業のExcel転記が残っているのは、能力の問題ではなく仕組みの問題です。もったいない時間を返してもらいましょう。
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