SteerとQueueとは — 作業中のCodexに追加指示を出す2つの方法
Codexに数分から数十分かかる仕事を任せていると、途中で「あれも頼みたい」「そこは少し違う」と伝えたくなる場面が必ず来ます。このときCodexには、作業中のエージェントへ追加の指示を出す方法が2つ用意されています。進行中の作業に割り込んで、今すぐ反映してもらうSteerと、今の作業が終わってから、順番に処理してもらうQueueです。この使い分けはデスクトップだけでなく、外出先からスマホで操作するRemoteでも同じように使えます(CodexのWeb版とスマホ活用参照)。
ChatGPTのようなチャットの往復では、返事を待って次のメッセージを送るだけなので、こうした選択肢は必要ありませんでした。エージェントであるCodexは、一度頼むとある程度の時間、自律的に作業を進めます。だからこそ「思いついた指示を、どのタイミングで渡すか」が新しい運用の論点になるのです。本記事は、この2つを日常的に使い込むなかで固まった、筆者なりの使い分けの型を紹介するものです。
使い込んで感じた割り込みの癖 — 後入れ先出しの傾向
最初に強調しておくと、Steer自体は非常によくできた機能です。エージェントに仕事を任せるときの不安は「違う方向に走り続けたらどうしよう」に尽きます。完了を待たずに途中で軌道修正できるSteerは、この不安への直接の答えであり、安心して任せるための重要な仕組みだと感じています。
そのうえで、実際に使い込んでみて気づいたことがあります。筆者の使用感では、Steerでの割り込みには「後入れ先出し」に近い癖があるように見えるのです。つまり、後から送った指示を先に実行しようとする——それまで進めていた作業をいったん止めて、Steerで届いた内容への対応を優先する傾向を感じました。
軽い補足のつもりで割り込んだのに本来の作業が後回しになり、「それはちょっと違うんだけどなぁ」という結果になった場面が実際にありました。念のため添えると、これはあくまで筆者が使うなかで観察した傾向であり、OpenAIが公式に定めた仕様と断定するものではありません(バージョンや状況によって挙動は変わりえます)。ただ、「割り込みは、進行中の作業の扱いを変えうる」という前提で運用を組んだほうが安全——これが使い込んだうえでの実感です。
結論 — Queueが基本、Steerは例外
この経験から固まった運用の型は、ごくシンプルです。基本はQueue。作業中に思いついた追加の頼みごとは、「今の作業が終わってから」でよい前提で、どんどんQueueに溜めていきます。そして、「これは明らかに、いま進行中の作業そのものに必要だ」と思ったものだけ、個別に「指示を送る」=Steerで割り込ませる。Steerは例外、Queueが基本、という順番です。
この型のよさは、割り込むかどうかの判断を「本当に今必要か」という1つの問いに集約できることです。Queueに積んだ指示は取りこぼされずに順番に処理され、進行中の作業は最後まで守られます。Steerの出番を絞ることで、せっかくの割り込み機能を「ここぞ」という場面で効かせられるようになります。
迷ったらQueue
「割り込むほどではないかもしれない」と迷った時点で、その指示はたいてい急ぎではありません。迷ったらQueueに積む——このルールにしておくと、判断に時間を使わずに済みます。Queueに積んだ指示は今の作業のあとに処理されるので、伝え忘れの心配もありません。
使い分けの判断基準 — 割り込むべきか、終わってからでよいか
判断の軸はひとつ、「その指示は、いま進行中の作業の成否に関わるか」です。関わるなら割り込む価値があり、関わらないなら終わってからで十分です。筆者が実際に使っている基準を整理すると、次のようになります。
表は横にスクロールできます →
| 状況の例 | 選ぶ方法 |
|---|---|
| 進んでいる方向が明らかに違う(前提や仕様の誤解に気づいた) | Steerで割り込む |
| いま作っている成果物に必須の条件を伝え忘れていた(対象範囲・出力形式など) | Steerで割り込む |
| 別のファイル・別のテーマに関する新しい頼みごと | Queueに積む |
| 今の作業が終わってからで間に合う改善・追加の要望 | Queueに積む |
| 割り込むべきか迷う | Queueに積む(迷う程度なら急ぎではない) |
人への指示にも通じる話 — 割り込みはコストだと知っておく
この使い分けは、実は人間のチーム運営とまったく同じ構図です。集中して作業しているメンバーに横から声をかければ手が止まり、元の集中に戻るまでのスイッチングコストが発生します。だから多くのチームでは、急ぎでない依頼はチャットやタスク管理ツールに積んでおき、本当に今伝えるべきことだけ声をかける運用が自然に生まれます。AIエージェントへの指示にも、同じ配慮がそのまま通用するわけです。
AIエージェントに仕事を任せる時代の「発注側のスキル」は、指示文の書き方だけではありません。その指示を、割り込んでまで今渡すべきか、終わってからでよいか——渡すタイミングを一拍おいて判断する習慣が、成果物の質を静かに底上げします。依頼文そのものの組み立て方はCodexの使い方 — 頼み方3つの型で詳しく解説しているので、あわせて読むと「何を頼むか」と「いつ渡すか」の両輪がそろいます。
こうした運用の勘所は、機能一覧を眺めるだけでは見えてきません。当社のCodex研修・導入伴走支援では、自社業務でAIエージェントを使い込んできた経験をもとに、SteerとQueueの使い分けのような「任せ方の型」まで含めて、貴社の実業務を題材にご支援しています。
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