本記事の情報の鮮度について

本記事は2026年8月時点の公式ドキュメント(learn.chatgpt.com)と、当社の実運用にもとづく整理です。設定画面の項目名や既定値はアップデートで変わる可能性があるため、最新は実際の画面と公式ドキュメントでご確認ください。「必要な先だけを、必要な分だけ開ける」という原則自体は変わりません。

Codex cloudとは — パソコンを閉じていても動く実行環境

Codex cloudとは、自分のパソコンではなく、Web上に用意された実行環境でCodexを動かす仕組みです。作業はクラウド上のサーバーで行われるため、パソコンを閉じていても動きます

ChatGPTデスクトップアプリ(Codex)が「自分のパソコンで働くAI社員」だとすれば、Codex cloudは「クラウドのWeb上で働くAI社員」です。スケジュール実行(Scheduled tasks)のクラウド実行も、この仕組みの上で動きます。

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項目ローカル(デスクトップアプリ)Codex cloud
どこで動くか自分のパソコンの中クラウド上の実行環境
パソコンの電源実行する間は起動してアプリを開いておく必要がある閉じていても動く
触れるファイル手元のフォルダをそのまま読み書きできるGitHubに上げてあるリポジトリの複製。パソコンのフォルダは直接触れない
APIキーの置き場所パソコンの中の .env などのファイル「環境(Environments)」に登録する

使い分けはシンプルです。手元のフォルダを読み書きする仕事はローカル、パソコンを開いていない時間にも動かしたい仕事はCodex cloud。全体像はCodex Cloud(Web版)とスマホ活用にまとめてあります。

切り替え方 — 初回だけ3ステップの準備がいる

クラウドで動かす切り替えは、デスクトップアプリの作業環境メニューで行います。プロジェクトを選んだ状態で、入力欄の上に「ローカル」と表示されている部分をクリックします。

ただし初回だけは、クラウド側の作業場を用意する手順が必要です。次の3ステップで終わります。

  1. 1「Codex ウェブを接続する」をクリック — クラウド環境を一度も設定していないと、メニューの「クラウドに送信する」はグレーで選べません。その上の「Codex ウェブを接続する」を押します
  2. 2ブラウザ版のCodexで環境を作る — ブラウザが開くので、左のメニューの「環境」を選び、右上の「+ 環境を作成する」をクリックします
  3. 3アプリに戻ってクラウドを選ぶ — 環境ができると、作業環境メニューの「クラウド」が選べるようになります

クラウドを選ぶと、そのプロジェクトがクラウド環境にチェックアウト(複製)され、以降のやり取りはクラウド側で動きます。2回目以降はこの選択だけで済み、同じメニューから「ローカル」にも戻せます。

「新しい Worktree」はクラウドとは別ものです

同じメニューに「新しい Worktree」という選択肢が並んでいますが、これはローカルのまま作業用のコピーを作る機能で、クラウド実行とは関係ありません。名前が近いので、切り替えのときに間違えやすいポイントです。

環境の作成画面 — 見るべきなのは4項目だけ

作成画面には項目がたくさん並びますが、見るべきなのは4つだけです。うち3つ(リポジトリ・名前・環境変数)は埋める項目、残りの1つ(インターネットアクセス)は外部のAPIを使うときだけ変える項目です。残りは既定のままで構いません。

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項目何を設定するかどうするか
GitHub 組織・リポジトリどのリポジトリをクラウドに複製するか必須。一覧には自分がGitHubでアクセスできるリポジトリだけが並ぶ
名前・説明この環境の名前と、1〜2文の説明必須。あとで見て何用の環境か分かる名前にする
コンテナ画像クラウド側の作業場のOS既定の universal(Ubuntu 24.04ベース)のままでよい。リポジトリは /workspace/ に複製される
環境変数実行中に使うAPIキーなどここに登録する。「追加」から名前と値を入れる
シークレット準備処理だけで使う鍵実行中のAIからは見えない。APIキーをここに入れない
セットアップスクリプト実行前に必要な準備コマンド使うライブラリがあるときだけ。最初は空でよい
コンテナのキャッシュ準備後の状態を保存して起動を速くする既定のままでよい
エージェントのインターネットアクセス作業中にネットにつなげるか既定はオフ(遮断)。外部のAPIを叩く仕事はここをオンにする
ターミナル環境の中をその場で確かめるファイルがちゃんと複製されたか見たいときに使う

入力が終わったら、最後に「環境を作成する」を押せば完了です。

落とし穴① インターネットアクセスは既定でオフ

この中でいちばんつまずきやすいのが「エージェントのインターネットアクセス」です。既定ではオフ(遮断)になっているため、外部APIを叩く仕事は、そのままだと通信のところで失敗します。

分かりにくいのは症状の出方です。準備処理(セットアップスクリプト)の間だけはネットにつながります。遮断されるのはAIが作業を始めてからなので、「ライブラリの導入はできたのにAPIを叩けない」という形で表面化します。設定漏れだと気づくまでに時間を取られやすいところです。

外部APIを使うときは、作成画面でインターネットアクセスをオンにし、次の2つを指定します。

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設定選べる値どれを選ぶか
ドメインの許可リストなし(自分で指定)/共通の依存関係(npmやPyPIなどの定番先をまとめて許可)/すべて(無制限)「共通の依存関係」を選び、叩くAPIのドメインを「追加ドメイン」に足すのが実用的。「すべて」は選ばない
許可されているHTTPメソッドGET・HEAD・OPTIONS に限定/すべてのメソッド叩くAPIが何を要求するかで決める。読むだけなら限定のまま、投稿・書き込みがあるなら「すべてのメソッド」

メソッドは、自動で「すべて」にする必要はありません。データを取得するだけなら GET で足りるので、限定したままで問題ありません。送信を伴うときだけ広げます

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やりたいこと必要な通信メソッドの設定
APIからデータを読む(競合の動画情報を取得するなど)取得だけGET・HEAD・OPTIONS のままでよい
外部に送る・書き込む(Discordへの投稿、シートへの追記など)送信(POSTなど)すべてのメソッドにする

たとえば「YouTubeのAPIから取得して、Discordに投稿する」という仕事なら、投稿のところで送信が発生するのでメソッドは「すべてのメソッド」ドメインは「共通の依存関係」+必要なドメインを追加という設定になります。

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使うサービス追加するドメイン補足
YouTubeのAPI(動画情報の取得)youtube.googleapis.com/www.googleapis.comどちらのホスト名でも呼べるため、2つとも入れておくと確実
Discordへの投稿discord.comWebhookでの投稿に使う

ドメインはURL全体ではなく、ホスト名の部分だけを入れます。たとえば https://youtube.googleapis.com/youtube/v3/search にアクセスするなら、追加するのは youtube.googleapis.com です。

使うサービスが変わればドメインも変わります。分からなければ、Codexに「この仕事で必要なドメインを教えて」と聞けば答えてくれます。自分で調べる必要はありません。

「すべて(無制限)」は選ばない

ネットを広く開けるほど、読み込んだページの指示に引っ張られたり、鍵やファイルが外に出ていく余地が広がります。必要な先だけを、必要な分だけ開けるのが原則です。許可リストの設計は、そのまま社内のセキュリティ説明にも使える資料になります。

落とし穴② APIキーを「シークレット」に入れると動かない

クラウドで使うAPIキーは、作成した環境に登録しておきます。ブラウザ版のCodexの設定の「環境」から対象の環境を開くと、ここで登録した内容が、クラウドでの実行のたびに毎回使われます

登録する欄は「環境変数」と「シークレット」の2つあります。名前は似ていますが、使える期間が違います

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性質
環境変数実行の最初から最後まで使える。実行中のAIが使うAPIキーはこちらに登録する
シークレット暗号化が一段強い代わりに、実行前の準備処理でしか使えない。AIが動き始める前に削除される

紛らわしいのは、「APIキーだから安全そうなシークレットへ」と入れると失敗することです。実行中のAIからは見えないため、実行中に使う鍵は「環境変数」の欄に登録してください。名前の印象と役割が逆に感じられるので、ここは覚えてしまうのが早いです。

前提の確認 — GitHubに上げていないファイルはクラウドに存在しない

設定に入る前に押さえておきたい前提があります。Codex cloudは、次の流れで動いています。

Codex cloudの実行の流れ
GitHub のリポジトリ
      ↓ クローン(複製)される
クラウド環境(Environment)
      ↓ この環境の上で動く
クラウドでのチャット / スケジュール実行

この流れから、大事なことが2つ分かります。まず、GitHubに上げていないファイルはクラウド側に存在しません。手元にしかない資料は、クラウドの作業場からは見えません。

もう一つは、ファイルを作る仕事では成果物もクラウド側の複製にできることです。手元のフォルダには自動では入らないので、GitHubを経由して取り込むことになります。

.env が読めないのもこの理由です。鍵はリポジトリに上げないのが原則なので、クラウド側には届きません。だからこそ、前述の「環境変数」への登録が必要になります。

MCP・プラグインはこの環境設定では扱いません

普段のチャットで使っているMCPサーバーは、クラウド環境の設定画面に登録する項目がありません。手元の config.toml もクラウドへは引き継がれないため、クラウドで外部サービスを触るときは本記事のとおりAPIキーを環境変数に入れてAPIやCLIから叩く形になります。実行場所ごとにMCPが使えるかどうかの整理は、関連記事のCodexのMCP設定ガイドにまとめてあります。

組織で使うなら — 環境の設計はそのままセキュリティ設計になる

Codex cloudの環境設定は、突き詰めると「AIにどこまでの通信と鍵を渡すか」を決める作業です。許可したドメインの一覧と、環境変数に入れた鍵の一覧が、そのまま「この自動処理が外部とどうつながっているか」の説明資料になります。情報システム部門への説明でも、この2つがあれば話が早く進みます。

逆に、面倒だからと「すべて(無制限)」で作ってしまうと、後から範囲を説明できなくなります。最初に狭く作っておくほうが、結果的に導入はスムーズです。サンドボックスとの関係を含めた全体像はCodexのセキュリティを参照してください。

当社のCodex研修・導入伴走支援では、貴社の実際の業務でクラウド環境を1つ作るところまでを一緒に行い、許可範囲の決め方も含めて設計をお渡ししています。

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