この記事の位置づけ

どちらか一方を選ぶ話ではありません。日々の作業はChatGPTデスクトップアプリ、中身の点検はエディタという併用が前提です。ツールとしての優劣・使い分けはCodexの比較、VS Code拡張の導入手順はCodexをVS Codeで使うにあります。

何が変わったのか — サイドバーが視界から消えた

Cursorのようなエディタ上でAIエージェントを使っていた頃は、画面の左側に常にファイル一覧が表示されていました。作業のたびに、フォルダの構成が目に入ります。

この状態では「スキルはここに入っている」「サブエージェントの定義はここにある」を否応なしに覚えます。覚えようとしなくても、毎日見ているからです。

ChatGPTデスクトップアプリ中心の使い方になって、この視界が消えました。UXとしては「中身の構成を見なくても、できていればいい」に変わり、実際そのとおりに仕事は進みます。当社代表も、直近はデスクトップアプリだけで日々の業務を回しています。

どちらで何が見えるか

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見たいものChatGPTデスクトップアプリエディタ(Cursor等)
作業の結果・差分見える(会話の流れの中で提示される)見える
作業フォルダのファイル一覧開けば見えるが、常時は視界に入らない常に左側に表示される
スキルが何個あるか・重複していないか意識して探さないと分からないフォルダを開けば一覧で分かる
AGENTS.mdが何階層に置かれているか同上階層構造がそのまま見える
使われていない古いルールの残骸気づきにくい眺めていて気づける

つまり「やる」はデスクトップアプリが速く、「点検する」はエディタが速い、という役割の違いです。どちらが優れているかではなく、見たいものが違います。

点検しないと何が起きるか

困るのはトラブルが起きたときではありません。普段の判断が静かに鈍ることです。

  • 似たスキルを二重に作ってしまう — 既にあることに気づかず、名前だけ違うものが増える
  • 古いルールが残り続ける — 方針を変えたのに、以前書いたルールがどこかに残って効き続ける
  • どこを直せばよいか分からない — 挙動がおかしいとき、原因のファイルにたどり着けない

いずれも致命的ではありませんが、放置すると精度が少しずつ下がります。AIが読み込む材料に、古いものと新しいものが混ざっていくためです。当社代表も「本来はやった方がいいが、やり切れていない」と自認している部分です。

運用 — 月1回、エディタで全ファイルを眺める

やることは単純です。エディタで作業フォルダを開いて、全ファイルを眺める時間を作る。視点は「おかしいものを探す」で、使っていないスキル・内容が古いルール・置き場所が間違っているファイルを見つけたら、その場でCodexに直させます。

頻度は月1回程度で十分です。車を定期的に開けて中を見るのと同じ感覚で、毎日やる必要はありません。ただし一度もやらないと、見えない部分は確実に厚くなります。

棚卸し自体もAIに手伝わせられます。「このフォルダにあるスキルを一覧にして、直近で使っていないものと、内容が重複しているものを挙げて」と頼めば、確認すべき候補が出てきます。人がやるのは、残すか消すかの判断だけです。

使っていない=不要とは限らない

決算・年末調整のように季節性のある業務のスキルは、使用頻度が低くても必要です。判断がつかないものは削除せず、使わないものをまとめる場所へ移しておくと安全です。

逆に、画面の場所は覚えない

中身は見る。一方で、ツール側の設定画面の場所は覚えない——これが当社の割り切りです。覚えても、数か月で変わるからです。

実例があります。クラウド実行の環境変数を追加しようとして、「アプリの設定画面から追加できる」と記憶していたのに、そこに項目が無いという事態になりました。正しくはCodex cloudの環境設定のとおり、ブラウザ版のCodexから行います。

解決したのは、Codex自身に聞いたときです。「クラウドの環境変数を新規追加する方法を教えてください。前と画面が変わっていて分からなくなりました」と、そのまま日本語で聞いて済みました。プロジェクトを選ばずに、ChatGPTに質問するのと同じ感覚で構いません。

線引き — 変わらないものは見る、変わるものは聞く

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対象性質取るべき態度
自分の作業フォルダの中身(ルール・スキル・資料)自分が作った資産。変わるとしたら自分が変えたときエディタで定期的に見る。把握しておく
ツール側の画面・設定の場所提供元の都合で変わる。数か月で配置が動く覚えない。必要なときにAIに聞く

この線引きをすると、覚える対象が一気に減ります。AIエージェントの学習が終わらない感覚の一因は、変わり続ける画面の操作手順まで覚えようとしていることにあります。

組織で運用するなら — 点検を人ではなく仕組みに持たせる

個人なら月1回の棚卸しで足りますが、組織では担当者が見なくなった瞬間に止まります。仕組み側に寄せるのが現実的です。

  1. 1棚卸しを定期実行タスクにする — スキルとルールの一覧を毎月出力させ、チャットに投稿させる(Codexの定期実行
  2. 2ルールの置き場所を1か所に決める — どこにでも書ける状態にしない。書く場所が決まっていれば探す時間が消える
  3. 3方針を変えたら、その場でファイルを直す — 口頭の周知で済ませると、古いルールがAIに読まれ続ける

当社のCodex研修・導入伴走支援では、貴社の作業フォルダの構成そのものを一緒に設計します。何をどこに置くかが決まっていれば、そもそも見えなくなる部分が小さくなります。

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