本記事の情報の鮮度について

本記事は2026年8月時点の公式ドキュメント(learn.chatgpt.com)と、当社の実運用にもとづく整理です。コマンドの細かい挙動はアップデートで変わる可能性がありますが、「完了条件を検証できる形で先に決める」という考え方自体は仕様が変わっても有効です。

/goalコマンドとは — ゴールが「指示」と「完了条件」を兼ねる

/goal コマンドは、Codexに通常の1ターンで止まらず、1つの持続的な目標に向かって作業を続けさせたいときに使います。

ポイントは、入力したゴールが「最初の指示」と「完了条件」の両方になることです。「これをやってください」であると同時に、「この状態になるまで終わらないでください」という意味を持ちます。

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伝えている内容
普通のプロンプトこの仕事をしてください
/goalこの状態になるまで仕事を続けてください

/goal では、目的地は固定されます。ただし途中で見えた景色に応じて、進む道はCodex自身が変えます。ツールを使って得た観察結果によって、ゴールへの経路は変わっていく——ここが「手順を指定する依頼」との根本的な違いです。

Claude Codeにも同名の /goal があります

「ゴールと完了条件を渡して達成まで自走させる」という考え方は、Codex独自のものではありません。Claude Code側にも同名のコマンドがあり、完了の判定方法と走行中の操作に違いがあります。両者の比較は関連記事のCodexの応用機能まとめにまとめてあります。

どんな仕事をゴールにするか — 3つそろっているか

誤解されやすいのですが、普通のプロンプトの中にもゴール(目標)は書きます。だから「目標がある仕事なら何でも /goal」ではありません。よいゴールは、1つのプロンプトよりは大きく、終わりのないやることリストよりは小さいものです。

目安は、次の3つがそろっているかどうかです。

  1. 1一度の実行では終わらない可能性が高い
  2. 2実行結果を見て次の一手を変える必要がある
  3. 3完了を判定する証拠や基準がある

つまり本質は、道筋は不確実だが、ゴールは明確というタスクです。最初から手順を確定できなくても、何をもって完了とするかは確定できる。そこが使いどころになります。

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仕事向いている理由
資料の一括整形見本の形式が決まっていて、全ファイルがそろえば完了
移行作業ゴールとなる形、照合の方法、制約がはっきりしている
大きな作り直し区切りごとにCodex自身がテストを走らせて確かめられる
実験・ゲーム・試作動くものを作って、そこから改善を重ねていける

「やることリスト」に/goalを使わない

互いに関係のない作業を並べただけのリストに/goalを使うのは避けてください。共通の完了条件が作れないため、Codexがどこを目指せばいいのか分からなくなります。複数の独立した作業を同時に進めたいなら、それは/goalではなく並列セッションの出番です。

「完了」を定義する — ここがCodexとの契約になる

この機能でもっとも大事なところです。始める前に「完了」の意味を共有しておく。これがCodexとの契約になります。

意識すべきは、Codexが自分で進捗を検証できる形で書くことです。公式が挙げているのは Outcome(結果)・Constraints(制約)・Verification(検証)の3つ。これに Context(前提)を足した4つで書くと、実際には迷いません。

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要素書く内容
Outcome(結果)やってほしい作業ではなく、手に入れたい結果を書く請求書CSVが、毎回手直しなしで取り込める状態にする
Context(前提)最初に読んでほしいファイル・資料・ログ対象は data/invoices/ 配下。読み込み処理は importer.py にある
Constraints(制約)使うツール、触ってはいけない範囲、避けてほしいやり方本番データベースには接続しない。既存のテストは壊さない
Verification(検証)完了を証明できるテスト・数値・チェック基準テストがすべて通り、サンプル10件が正しく取り込まれている

いちばん大事なのは Verification(検証) です。ここが曖昧だと、Codexは「どこで止まっていいのか」が分からず、いつまでも作業を続けるか、中途半端なところで終わります。

コツは、定量的かつ客観的な基準にすることです。誰が見ても同じ判定になる形でなければ、Codexは自分で完了を確かめられません。移行作業なら「新しい経路がテストを通り、元の経路にも戻せる状態」、試作なら「アプリが立ち上がり、想定どおりの動きになっている状態」——このように、確かめる行為までセットで書きます。

主観で決まるゴールには向きません

「めちゃめちゃかっこいいデザインにする」のような、主観で合否が決まるものは/goalに向きません。どこからが合格なのかをCodex側で判定できないため、「まだ良くできるかもしれない」と走り続けることになります。どうしても見た目を扱いたいときは、「指定した3色以外を使っていない」「スマホ幅で横スクロールが出ない」のように、チェックできる条件に翻訳してから渡してください。

プロンプトの型 — 4要素をそのまま並べる

型はこれだけです。先ほどの4要素を、そのまま並べます。

/goalの基本形
/goal 〈何をどこまでやるか〉

前提:〈対象のファイル・データ・環境〉
制約:〈やってはいけないこと・守る条件〉
完了条件:〈これが満たされたら終わり、と検証できる形で〉

実際に埋めると、たとえばこうなります。アンケートの自由記述を分類して集計する、という仕事です。

記入例(アンケートの自由記述の分類・集計)
/goal アンケートの自由記述を分類して、集計表にまとめてください。

前提:対象は アンケート.csv の「ご意見」列。分類の定義は 分類ルール.md にある。出力先は 集計.md
制約:原文の言い回しは変えない。分類ルールにないカテゴリは勝手に作らない
完了条件:全件がどれかの分類に割り当てられ、分類ごとの件数と代表コメント3件が 集計.md に載っている

見るべきは完了条件の行です。「全件」「件数」「代表コメント3件」と、数えて確かめられる形になっています。これを「いい感じにまとめて」と書いてしまうと、Codexはどこで止まればいいのか判断できません。

もしゴールをうまく言語化できなければ、Codex自身に手伝ってもらえばよいです。まずは普通のチャットで「何を作りたいのか」を会話し、そのあとでこう頼みます。

ゴールの言語化を任せる頼み方
ここまで話した内容をもとに、目標と完了条件を整理してゴールを設定し、
そのまま作業を始めてください。

コマンド一覧 — 途中で止めて、また再開できる

ゴールは、設定したあとも途中で確認したり、止めたり、再開したりできます。長く走らせる仕事なので、この操作を知っているかどうかで安心感がまったく違います。

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コマンド何が起きるか
/goal 〈目標〉ゴールを設定して、そこに向かって走り始める
/goal今設定されているゴールを確認する
/goal pause一時停止する(ゴールは残る)
/goal resume一時停止していたゴールを再開する
/goal clearゴールを解除する(普通のチャットに戻る)

覚えておきたいのは /goal pause です。「思っていたのと違う方向に進んでいる」と感じたら、まず一旦止める。ゴールは残るので、方針を伝え直してから /goal resume で再開できます。

プランモードとの組み合わせが基本形

プランモード/goal は名前が似ていますが、役割は違います。プランモードは「どう進めるかを先に考える」ゴールモードは「何を達成するまで走り続けるかを固定する」ものです。

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観点プランモードゴールモード(/goal)
役割どう進めるかを先に考える何を達成するまで走り続けるかを固定する
出てくるもの実行計画(進め方の案)完了条件つきの持続的な目標
止まるタイミング計画を出したところで一度止まる完了条件を満たすまで走り続ける
向いている場面複雑・曖昧で、進め方から相談したいとき進め方は任せるが、ゴールは動かしたくないとき

公式のPromptingガイドでも、まずプランモードで調べさせて進め方を固め、そのあとに /goal で持続的な目標を設定する流れが案内されています。

推奨される流れ
/plan  →  進め方を調べて、計画を出してもらう
   ↓
/goal  →  完了条件を決めて、そこまで走らせる

組織で使うなら — 完了条件を書く力そのものが資産になる

/goal を使いこなせるかどうかは、コマンドを覚えたかではなく、自分の仕事の「完了」を言語化できるかにかかっています。そしてこれは、AIの話を抜きにしても、業務の引き継ぎ・外注・新人教育すべてに効く力です。

当社が支援に入ると、ここで詰まるケースが多くあります。「いい感じにまとめて」で回ってきた仕事は、完了条件が担当者の頭の中にしかありません。/goal を書こうとすると、それを外に出さざるを得なくなる。AIに任せるための作業が、そのまま業務の棚卸しになるというのが、実際に導入して分かったことです。

当社のCodex研修・導入伴走支援では、貴社の実業務を題材に、完了条件を検証できる形に翻訳するところから一緒に取り組んでいます。

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