この記事の根拠
メモリ使用量と並列の実感は、当社代表のMacBook Pro(M4 Max・128GB)での体験です。プロセスの内訳とスワップの記録は同じMacで実測しました。Mac Studioの仕様と価格はApple公式の仕様ページと公式ストアの構成画面、Codexの利用枠はCodex公式の料金ページ、メモリの見方はAppleのサポートページによります。体験・実測と公式の記述は、出所を分けて書きます。
128GBのMacでも「足りないかも」となった
代表の宮地は、MacBook Pro(M4 Max・128GB)でChatGPTデスクトップアプリ(Codex)を使っています。1本目のタスクを待つ間に2本目を投げ、その間に3本目を投げる。並列で指示を次々に投げていくと、メモリの使用量が60GB、70GB、80GBと積み上がっていきます。
128GBは、少し前なら「何に使うの?」と言われた容量です。それが並列のCodexで半分以上埋まる。このペースで並列を増やしたら、128GBでも足りなくなる。そう考えて、次の1台を探し始めました。
CodexがMacのメモリを食う理由 — 考えるのはクラウド、食うのは手元の作業場
最初に押さえておきたいのは、CodexのAIモデルそのものはOpenAIのクラウドで動いていることです。GPT-6 AstraやGPT-5.6 Solが、Macのメモリの上で考えているわけではありません。手元のメモリを使っているのは、Codexが作業のために手元で動かしているプログラムです。
当社のMacでプロセスの一覧を見ると、アプリ本体と画面の表示のほかに、Codexの実行役(app-server)と、Node.jsで動く補助プログラムの組が何組も起動していました。1組あたりは数百MBです。1つ1つは小さくても、並列にした数だけ積み上がります。
もう1つ大きくなりやすいのが、タスクが仕事の途中で起動するものです。サイトのビルド、動作確認用の開発サーバーやブラウザ、テストの実行など、中には数GB単位でメモリを使うものもあります。並列で走らせれば、これらが同時に立ち上がります。
- アプリ本体 — ChatGPTデスクトップアプリと、画面の表示
- Codexの実行役と補助プログラム — app-serverと、Node.jsで動く補助の組。当社のMacでは1組あたり数百MB
- タスクが起動するもの — ビルド・開発用サーバー・確認用ブラウザ・テスト。数GB単位になるものもある
つまりMacのメモリが決めているのは、同時に何本のタスクを走らせられるかです。これが並列の1つ目の天井になります。
では256GBのMac Studioか — M5 MaxとM5 Ultraを並べてみた
ちょうど9月22日発売の新しいMac Studioが予約を受け付けています。動画の保存先も兼ねたいのでSSDは4TBを固定条件にすると、候補は実質2つに絞れます。M5 Maxはメモリを128GBまでしか積めず、256GBにするならM5 Ultraを選ぶことになるからです。
表は横にスクロールできます →
| 項目 | M5 Max | M5 Ultra |
|---|---|---|
| CPU | 18コア | 30コア |
| GPU | 40コア | 64コア |
| ユニファイドメモリ | 128GB(M5 Maxの上限) | 256GB(96GBから選べる) |
| SSD | 4TB | 4TB |
| メモリ帯域幅 | 614GB/s | 1.2TB/s |
| ビデオエンコードエンジン | 2つ | 4つ |
| ProResエンコード/デコードエンジン | 2つ | 4つ |
| Apple公式ストアの構成価格 | 1,211,800円 | 1,939,800円 |
差額は72万8,000円です。相談したChatGPTは「100万円近く」と見積もりましたが、公式ストアで実際に組むとここまで縮みます。それでも、欲しい理由が「メモリを2倍に」だけなら、70万円を超える上乗せです。
なおUltraは単なるメモリ増量版ではなく、エンコードとProResのエンジンがMaxの2倍あります。4K・8Kの動画を頻繁に書き出すなら差額に意味が出ますが、動画を保存しておくだけなら、効いてくるのは4TBの容量のほうです。
オチ:256GBを埋めるほど並列にすると、先にCodexの利用枠が尽きる
256GBを検討した理由は「もっと並列にしたいから」でした。ところが、ここで話がひっくり返ります。並列を増やせば、Codexの利用枠が減る速さも同じだけ上がるのです。
Codexの利用枠は5時間ごとの枠で管理され、週単位の上限がかかる場合もあります。公式の料金ページによると、手元で動かすタスクとクラウドのタスクは同じ枠を共有します。単純化すると、同じ重さのタスクを10本同時に走らせれば、1本ずつ頼むときのおよそ10倍の速さで枠を使うことになります。
代表の実感はシンプルです。今よりさらに並列を増やすと、個人向けでいちばん枠の大きいPro(20x)でも、すぐに枠がなくなる。公式の目安では、Pro(20x)でGPT-6 Astraを使うときのローカルのメッセージは5時間あたり100〜900件です。並列の本数で分け合えば、1本あたりの持ち分はすぐに細ります。
つまり256GBのMac Studioを買っても、それを埋めるほどの並列は実質できません。194万円のMacが、利用枠の回復を待ちながら暇を持て余す。これが今回の検討のオチでした。
並列の本数を決める2つの天井
表は横にスクロールできます →
| 比べる点 | Macのメモリ | Codexの利用枠 |
|---|---|---|
| 決めるもの | 同時に何本走らせられるか | 一定の時間にどれだけ頼めるか |
| 並列を増やすと | 使用量が本数に応じて増える | 減る速さが本数に応じて上がる |
| 当たったときの症状 | スワップが増え、Mac全体が重くなる | 上限に達し、枠の回復まで依頼が止まる |
| 引き上げ方 | Macを買い替える(一度に数十万円単位) | プランを上げる・クレジットを買い足す(毎月) |
実際に並列できる本数は、2つの天井の低いほうで決まります。利用枠の天井が低いままメモリだけ引き上げても、並列の本数は増えません。上限に当たったときの確認と対処はCodexの制限で解説しています。
本当に足りないかは「使用量」ではなく「メモリプレッシャー」で見る
検討の途中で、もう1つ分かったことがあります。使用量の数字が大きいことと、メモリが足りないことは別です。macOSはメモリを圧縮したり、空いている分をファイルのキャッシュに回したりしながら使うため、使用量だけでは余裕の有無が分かりません。
Appleが「追加のRAMが必要かどうか」の判断材料として案内しているのは、アクティビティモニタのメモリプレッシャーのグラフです。アプリケーション > ユーティリティ > アクティビティモニタを開き、「メモリ」タブの下部で確認できます。色の意味は次のとおりです。
- 緑 — すべてのRAMを効率的に使えている
- 黄 — RAMが今後足りなくなる可能性がある
- 赤 — より多くのRAMが必要
あわせて見たいのが、同じ画面のスワップ使用領域です。メモリが逼迫したときに、起動ディスクをメモリの代わりに使った量のことで、ここが増え続けているならメモリ不足は本物です。
代表のMacは、10日間スワップ0回だった
執筆中に代表のMacを確認すると、前回の再起動から10日と16時間が経っていました。その間もCodexを日常的に動かしていましたが、スワップへの書き出しは0回。スワップ使用領域も0で、メモリの空きにも余裕がありました。
少なくともこの10日間、128GBが、ディスクに逃がすほど足りなくなった場面は一度もなかったことになります。「80GBも使っている」は、それだけでは「足りない」の合図ではなかったわけです。
sysctl vm.swapusage
vm_stat | grep -E "Swapins|Swapouts"
memory_pressure | tail -11行目は今のスワップ使用量、2行目は起動してからスワップへ読み書きした回数、3行目はシステム全体の空きの割合です。2行目が0のままなら、起動してからディスクに逃がすほどメモリが足りなくなった場面はありません。
結論:買うならM5 Maxの128GB・4TB。差額はAIの利用料へ
今回の検討の結論です。Codexの並列のために256GBへ上げる必要はありません。ピークが60〜80GBでスワップも出ていないなら、128GBにはまだ余白があります。買い替えるなら、M5 Max(18コアCPU・40コアGPU)の128GB・4TBで十分です。
差額の72万8,000円は、Codexの上位プランや追加のクレジットに回したほうが、こなせる仕事は増えます。天井が低いのは利用枠のほうなので、お金をかけるならそちらです。プランごとの違いはCodexの料金にまとめています。
M5 Ultraの256GBが生きるのはこんなとき
- ローカルLLMを動かす — モデルを手元のメモリに載せるので、容量がそのまま効く
- 4K・8K動画の編集と書き出しが日常 — エンコードとProResのエンジンがMaxの2倍
- Codex以外にも重いものを常時起動する — 仮想マシンやDocker、複数の開発環境など
- 利用枠を気にせず何十本も回せる契約がある — 従量課金で枠そのものを大きく広げられる場合
逆に言えば、「Codexの並列を増やしたいから」だけでは、256GBの理由になりません。
まとめ — 並列の天井は、Macより先に利用枠に来る
- CodexのAIモデルはクラウドで動く。Macのメモリを使うのは、手元で動く実行役・補助プログラムと、タスクが起動するビルドやブラウザ
- メモリの天井は「同時に何本か」、利用枠の天井は「どれだけ頼めるか」。並列の本数は低いほうの天井で決まる
- 足りないかどうかは使用量ではなく、メモリプレッシャーとスワップで見る
- Mac Studioを買うならM5 Maxの128GB・4TB。差額はAIの利用料へ
最後にもう1つ。メモリも利用枠も無限にあったとしても、並列で返ってくる成果物を確かめるのは人です。並列の本当の天井は、案外そこにあるのかもしれません。並列で走るタスクの見守り方はペット機能、並列の2つの使い分けはサブエージェントと並列実行で解説しています。
株式会社AI OrchestraのCodex研修・導入伴走支援では、並列で任せる仕事の切り方から、利用枠の減り方を見てプランや台数を決める考え方まで、実際の業務を題材に一緒に組み立てます。
Codexの並列運用で、Macやプランの選び方に迷っている企業様へ。実際の業務を題材に、並列で任せる仕事の切り方と、利用枠を見ながら環境を決める考え方までを扱う法人研修・導入伴走支援を提供しています。







