コンテキストウィンドウとは — Claudeの「作業机」の広さ
コンテキストウィンドウは、Claudeがその会話の中で一度に見渡せる情報の総量です。人にたとえるなら作業机の広さで、机に載っている資料だけを見ながら判断します。単位はトークン(文字数に近い情報量の目安)で数えます。
公式ドキュメントによると、机に載るのは会話の履歴・読み込んだファイルの中身・コマンドの実行結果に加え、CLAUDE.md、自動メモリ、スキルの説明、システムの指示などです。あなたが入力した文章は、その中のごく一部にすぎません。
使用量の上限とは別の話
コンテキストの上限は「1つの会話の机の広さ」で、プランごとの使用量の上限(5時間・週ごとの枠)とは別ものです。「上限に達しました」系のメッセージの読み分けは利用制限の記事で解説しています。
作業を始める前から机は埋まっている
意外と知られていないのが、最初の指示を打つ前から、かなりの情報が読み込まれていることです。起動時に次のようなものが机に並びます。
表は横にスクロールできます →
| 起動時に読み込まれるもの | 中身 |
|---|---|
| システムの指示 | Claude Codeの基本的なふるまいの指示(画面には出ない) |
| CLAUDE.md | 個人用・プロジェクト用の指示ファイル。毎回まるごと読み込まれる |
| 自動メモリ | Claudeが過去のセッションで書き留めたメモ(先頭200行または25KBまで) |
| スキルの説明 | 使えるスキルの一覧と1行説明。本文は使うときに初めて読み込まれる |
| MCPツールの名前 | 外部連携のツール名。詳しい定義は必要になったときに読み込まれる |
そのうえで作業が進むと、Claudeが読んだファイルやコマンドの出力が1回ごとに積み上がっていきます。大きなログファイルを1本読ませるだけで、机の相当部分を占めることもあります。
何が容量を使っているかは /context で確かめる
「なぜか重い」と感じたら、まず会話の中で /context を実行します。いま机を占めているものが種類別に表示され、減らすための提案も出ます。どのCLAUDE.mdや自動メモリが読み込まれているかも、ここで確認できます。
作業中ずっと残量を目に入れておきたい場合は、画面下部のステータスラインにコンテキストの使用量を表示する設定ができます。残りが少なくなると画面に警告も出るので、それを区切りの合図にするのが実務的です。
容量が埋まるとどうなるか — 自動圧縮で残るもの・消えるもの
上限に近づいても会話が止まるわけではありません。Claude Codeは古いツールの出力から片付け、それでも足りなければ会話全体を要約して、机を空けます。これが自動圧縮(オートコンパクト)です。
要約には、依頼の内容と意図、扱ったファイルと重要なコード、発生したエラーと対処、残りの作業などが残ります。一方で、ツール出力の全文や途中の細かい指示は消えます。「最初に伝えたルールを守らなくなった」の正体はたいていこれです。
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| 圧縮後の扱い | 対象 |
|---|---|
| ディスクから読み直される | プロジェクト直下のCLAUDE.md・自動メモリ・プランモードで書いた計画 |
| 一部だけ読み直される | 最近変更したファイル(最大5件)・使ったスキルの本文(上限あり) |
| 要約に置き換わる | 会話の中で口頭で伝えた指示・ツール出力の全文 |
守らせたいルールは会話でなくCLAUDE.mdへ
会話の途中で伝えた指示は、圧縮で要約に埋もれる可能性があります。一方、プロジェクト直下のCLAUDE.mdは圧縮後もディスクから読み直されます。毎回守らせたいルールはCLAUDE.mdの書き方を参考に、ファイルへ移してください。
/compact と /clear の使い分け
自動圧縮を待たずに、自分で机を片付けることもできます。使うコマンドは2つで、「続きの作業か、別の作業か」で選ぶのが基本です。
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| コマンド | 何が起きるか | 使う場面 |
|---|---|---|
/compact | 会話を要約に置き換えて同じ作業を続ける | 長い作業の途中で区切りたいとき |
/clear | 会話をリセットしてまっさらな状態から始める | 無関係な別の作業に移るとき |
/compact には、残してほしい観点を添えられます。自動の要約はClaudeが重要そうなものを推測して残しますが、観点を指定すれば、あなたが選んだものが残ります。
/compact 請求書テンプレートの修正方針と、未対応の項目リストを重点的に残して/clear は要約すら作らないため、それ自体は使用量を消費しません。逆に /compact は会話全体を読み直して要約するので、大きな会話ほど1回の処理が重くなります。無関係な作業へ移るなら、迷わず /clear が効率的です。
/clear しても会話は消えない
/clear は机を片付けるだけで、それまでの会話は保存されています。先に /rename で名前を付けておけば、後から /resume で戻れます。再開の手順はセッション再開の記事で詳しく解説しています。
チームで運用するなら、圧縮時に残す観点をCLAUDE.mdに「Compact Instructions」という見出しで書いておく方法もあります。誰が作業しても同じ観点で要約が残るので、引き継ぎの品質がそろいます。
1Mコンテキストとは — 机を広げる選択肢
一部のモデルは、100万トークン(1M)のコンテキストウィンドウに対応しています。公式ドキュメントでは、Fable系・Sonnet 5・Opus 4.7以降は、Anthropicのサービスから直接使う場合はどのプランでも最初から1Mで動くとされています(AWSなどのクラウド経由は別扱い)。
1Mで動くモデルでは、既定で約96万7千トークン付近で自動圧縮がかかります。旧世代のOpus 4.6・Sonnet 4.6は [1m] の付いた選択肢を選んだときだけ1Mになり、プランによっては追加の利用枠(usage credits)が必要です。
ただし、机が広いほど毎回のやり取りで読み直す量も増え、使用量がかさみます。広い机は大規模な資料を一度に扱う場面に取っておき、日常の作業はこまめに区切るほうが、品質とコストの両面で有利です。
早めに圧縮させたい場合は、/autocompact 500k のように自動圧縮がかかる量を自分で決めることもできます。設定はユーザー設定に保存され、次回以降のセッションにも引き継がれます。
長時間作業を分割する実務のコツ
コンテキスト管理の要点は、机に載せる資料を必要なものだけに絞ることです。業務で効果の大きい習慣を4つに絞りました。
- 11つの会話に1つの仕事 — 見積書作成が終わったら
/clearしてから議事録整理に移る。前の作業の資料が机に残ると、判断が引きずられる - 2大量の読み込みはサブエージェントに任せる — 調査や大きなログの確認は別の机で処理させ、要約だけ受け取る。仕組みはサブエージェントの記事へ
- 3区切りで要点を書き出させる — 作業の節目で「決定事項と残タスクを箇条書きにして」と頼み、ファイルに残してから圧縮・リセットする
- 4使わない連携は外す —
/mcpで使っていない外部連携を無効にし、CLAUDE.mdは要点だけに保つ(公式は200行以内を目安にしている)
「何を机に載せ、何を載せないか」を設計する考え方そのものは、コンテキストエンジニアリングの原則で体系的に整理しています。本記事の操作と合わせて読むと、なぜその操作が効くのかまで腹落ちします。
よくあるつまずきと対処
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| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| 途中から最初のルールを守らなくなった | 自動圧縮で会話中の指示が要約に埋もれた可能性が高い。守らせたいルールはCLAUDE.mdへ移す |
| 新しいセッションで /compact が効かない | 要約する会話がまだ無いため。ある程度やり取りしてから実行する |
| 圧縮してもすぐに埋まり、エラーで止まった | 巨大なファイルや出力が毎回読み込まれている。必要な範囲だけを読ませるか、サブエージェントに任せる |
| 長時間開いたままの会話で使用量が急に減る | 毎回のやり取りで会話全体を読み直しているため。区切りのよいところで /clear する |
コンテキストの扱いは、個人の小技にとどまらず、チームでAIの出力品質をそろえるための土台です。どの情報をファイルに固定し、どこで会話を区切るかを決めておくと、担当者が変わっても同じ品質で業務が回ります。
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