結論 — スライド作成でPowerPointを開かない、という選択肢

当社がおすすめしているのは、スライドをHTMLで作らせて、PDFに変換して配布する方式です。プレゼン資料の役割は「映して見せる」と「配って読んでもらう」の2つがほぼすべてで、この2つはHTMLファイル1つとそのPDF化で満たせます。PowerPointやGoogleスライドのファイルを作るのは、相手がそのファイルを編集する必要があるときだけで十分です。

机上の話ではありません。2026年7月に、当社は自社開催のオンライン講義の資料と法人研修で実際に使う資料をこの方式で作成・運用しました。スライドツールで自作するより速く、仕上がりも自分で整えるより良い——というのが実際にやってみた手応えです。以下、理由と手順を順に解説します。

なぜHTMLで作るのか — 3つの利点

「スライドはスライドツールで作るもの」という前提を一度外すと、HTMLには実務上の利点が3つあります。

利点1: プレゼンモードも印刷用CSSも1ファイルに内蔵できる

HTMLは見た目・動き・印刷時の体裁まで1つのファイルに書き込めます。「矢印キーで次のスライドへ進む」「印刷するときはA4横で1画面=1ページに割り付ける」といった指定を、Codexが最初から組み込んでくれます。特別なアプリは不要で、ブラウザで開けばそのまま発表でき、ブラウザの印刷からそのままPDFになる——この自己完結が最大の強みです。

利点2: 修正が指示ベースで速い

スライドツールでの修正は「オブジェクトをドラッグして揃える」「はみ出した文字を縮める」といった手作業になりがちです。HTML方式なら、修正は「5枚目の表を最新の数字に差し替えて」「全体の配色を紺基調にして文字を大きく」と言葉で頼むだけです。レイアウトの崩れはCodexが吸収するので、人間がマウスで整える工程そのものがなくなります。

利点3: PDFで渡せば、相手の環境で体裁が崩れない

PowerPointファイルをそのまま送ると、相手のフォント環境やアプリのバージョンによって見た目が変わることがあります。PDFは開く環境が違っても体裁が固定されるため、「相手のPCでレイアウトが崩れていないか」を心配する必要がなくなります。配布物として渡すなら、編集できないことはむしろ利点です。

実際の頼み方 — 材料を渡して、構成と体裁を指定する

手順は3ステップです。①スライドの材料(メモ・議事録・箇条書きの構成案)を作業フォルダに置く、②依頼文で構成と体裁を指定してHTML1ファイルで作らせる、③ブラウザで開いて確認し、直したい箇所を指示で修正する。依頼文の例を挙げます。

スライド作成の依頼文例
docs/説明会メモ.md をもとに、社内説明会のスライドを
HTML 1ファイル(slides.html)で作ってください。

- 構成: 表紙 → 現状の課題 → 提案 → スケジュール → まとめ
- 1画面 = 1スライド。矢印キーで前後に移動できるプレゼンモードにする
- 印刷用CSSを入れて、ブラウザの印刷からA4横のPDFとして
  1スライド1ページで保存できるようにする
- 配色は紺基調、文字は会議室の後ろの席からも読める大きさに

できあがったHTMLファイルをブラウザで開けば、そのまま発表用のスライドとして使えます。配布するときは、ブラウザの印刷(Macは ⌘P、Windowsは Ctrl+P)から「PDFとして保存」を選ぶだけです。修正したい箇所が出たら、ファイルを自分で編集するのではなく、Codexに言葉で指示します。

配るときはHTMLのままではなくPDFで

HTMLファイルをそのまま社外へ送ることはおすすめしません。開く環境(ブラウザや画面サイズ)によって見え方が変わる可能性があり、受け取った側も扱いに迷います。発表は自分の画面でHTML、配布は必ずPDFに変換してから——ここまでがワンセットです。

依頼文の組み立て方(指示・コンテキスト・完成条件の3点セット)はCodexの使い方で、材料になる資料の置き方はCodexのコンテキスト設計で詳しく解説しています。

PowerPointファイルが必要なとき — 標準プラグインで対応する

とはいえ、PowerPoint形式そのものが必要な場面はあります。提出先が上書き編集する資料、部署の定型テンプレートに沿った資料、共同編集が前提の資料などです。その場合もCodexで対応できます。Codexには文書・表計算・スライドを扱う標準プラグイン(Documents・Spreadsheets・Presentations)が用意されており、Microsoft形式・Google形式の両方に対応しています(2026年8月時点)。詳しくはCodexの標準プラグイン解説を参照してください。

使い分けの目安を整理します。

表は横にスクロールできます →

場面おすすめの作り方理由
発表する・PDFで配布するHTMLで作らせてPDF化体裁が固定され、修正も指示ベースで速いため
相手がファイルを編集するPresentationsプラグイン等でPowerPoint・Google形式相手の編集環境に合わせる必要があるため
定型テンプレートが決まっている既存ファイルをCodexに読ませて同形式で組織の型を崩さないことが優先のため

判断基準はシンプルで、「相手がこのファイルを編集するか」だけです。編集しないなら、HTMLで作ってPDFで配るほうが速く、きれいに仕上がります。

資料作成の前段 — 散らかったファイルの整理も任せる

資料作成とセットでよくご相談を受けるのが、ファイル整理です。ダウンロードフォルダや案件フォルダに「名称未設定のコピー」「提案書_final_v2_最新」が溜まっていて、資料を作ろうにも材料がどこにあるか分からない——という状態です。この整理もCodexに任せられます。Codexはフォルダの中のファイルを開いて内容を確認できるため、中身に基づいたリネームと分類ができます。

ファイル整理の依頼文例
このフォルダのファイルを整理してください。

- まず全ファイルの中身をざっと確認し、「どう分類し、
  どうリネームするか」の計画表だけを先に見せてください
- ファイル名は「日付_内容」の形式に揃える
- 削除はしない。不要そうなものは archive フォルダへ移す案にする
- 私が計画をOKしてから、実際の移動・リネームを実行してください

コツは、いきなり移動させず、まず計画を見せてもらうことです。ファイルの移動やリネームは後から追いにくい変更なので、計画→承認→実行の2段階に分ければ安心して任せられます。また、判断に迷うファイルは削除ではなくアーカイブ用フォルダへ寄せる指示にしておくと、失うものがありません。

整理した後の恒常的な置き場所——生データと整理済みデータを分け、索引を作らせる「2階建て」のフォルダ設計——はCodexのコンテキスト設計で解説しています。ファイル整理を一度きりの大掃除で終わらせず、資料の材料が日頃から貯まる仕組みにするのが次の一手です。

まとめ — 資料作成は「作る」から「頼んで整える」へ

Codexでの資料作成のポイントをまとめます。配る資料はHTMLで作らせてPDF化する。相手が編集する資料だけPowerPoint・Google形式で作る。前段のファイル整理もCodexに任せ、計画→承認→実行の2段階で進める。スライドツールの操作に費やしていた時間が、構成と中身を考える時間に置き換わります。

資料作成は、プログラミングをしない方がCodexの効果を最初に実感しやすい業務のひとつです。非エンジニアの方がCodexを業務基盤に育てる道筋は非エンジニアのCodex活用で解説しています。また、当社のCodex研修・導入伴走支援では、こうした「自社の資料作成フローにどう組み込むか」の設計からご支援しています。

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