前提 — Codexは「現代のワード・エクセル」であり、開発者専用ではない

名前に「Code」と付くため開発者向けの印象がありますが、Codexの正体は手元のファイルやアプリを操作して、頼んだ作業を最後まで実行するAIエージェントです。

ChatGPTが「相談相手」だとすれば、Codexは「作業を代わりにやる担当者」——回答を画面に出して終わりではなく、ファイルを読み、成果物をファイルとして作り、指定の場所に保存するところまで進みます(基本の解説はCodexとは?を参照してください)。

これは当社の解釈だけではありません。OpenAI公式のCodexユースケース集(2026年8月時点)には、「メールの未処理をゼロにする」「仕事のチーフ・オブ・スタッフ(秘書役)を設定する」「複数のスプレッドシートを1つのブックに統合する」「散らかったデータを整える」「スライド資料を作る・直す」といった、プログラミングとは関係のない業務がユースケースとして並んでいます

当社の研修では「Codexは現代のワード・エクセルのようなもの」とお伝えしています。文書と表計算を扱う道具が誰の机にもあるのと同じ意味で、Codexは全職種の道具になりつつあります

業務別ユースケース10選 — 頼み方の一言と、受け取る成果物

当社の研修・導入支援と自社の実務で定着している活用先を、業務別に10個整理しました。共通するのは「材料(元になるファイル)を作業フォルダに置いて、成果物をファイルで受け取る」という形です。詳しい記事がある業務は、右端の列からたどれます。

表は横にスクロールできます →

業務頼み方の一言受け取る成果物詳しい解説
① 議事録の整形「この書き起こしを、決定事項・宿題・期限の3見出しで整理して」整形済みの議事録ファイル使い方(頼み方の型)
② エクセル・スプレッドシートの集計「この売上データを部門別に集計して、別名で保存して」集計表・グラフ付きの新しいファイル本記事で深掘り
③ データの下ごしらえ「表記ゆれと重複を直して、3つのCSVを1つにまとめて」整形済みデータと変更内容のメモ本記事で深掘り
④ 資料・スライドの作成「このメモをもとに説明会のスライドを作って」スライド(HTML→PDF、必要ならPowerPoint形式)資料作成
⑤ メールの下書き・返信の整理「この問い合わせへの返信案を、過去の返信の文体で3つ」返信の下書き本記事で深掘り
⑥ 調査・比較表の作成「この3社のサービスを調べて、出典付きの比較表に」比較表付きの調査メモ使い方(頼み方の型)
⑦ ファイル整理・ナレッジ整備「このフォルダを案件別に分類する計画を先に見せて」整理されたフォルダと索引コンテキスト設計
⑧ フォーム入力・Web上の定型操作「この会社情報をもとに、申込フォームを埋めて送信前で止めて」入力済みの画面(最終確認は人)computer useの見える化
⑨ 定例レポート・リマインドの定期実行「毎週月曜9時に先週の数字をまとめて報告して」毎週届くレポート定期実行自動化
⑩ 秘書役(予定・タスク・連絡の一元管理)「今日の予定と未返信、期限が近いタスクを毎朝まとめて」毎朝の要点メモと返信案本記事で深掘り

①〜⑦は「ファイルを渡して、ファイルで受け取る」基本形、⑧は画面操作、⑨⑩は定期実行という具合に、後ろへ行くほど仕組み化の度合いが上がります。最初の1件は①〜③のどれかから始めるのが、当社の研修での定石です。理由は後述の「向く仕事の見極め方」で説明します。

深掘り① エクセル・スプレッドシートの集計 — 元ファイルは触らせず、集計は別ファイルで受け取る

まず知っておくこと — ExcelもGoogleスプレッドシートも標準で扱える

Codexには文書・表計算・スライドを扱う標準プラグイン(Documents・Spreadsheets・Presentations)が用意されており、表計算はExcelとGoogleスプレッドシートの両方に対応しています(2026年8月時点)。詳細は標準プラグインの解説をご覧ください。

加えて、ChatGPTデスクトップアプリ(Codex)の設定には、Codexが画面上で操作してよいアプリ(Microsoft Excelなど)を許可する項目があります。

つまり、ファイルとして渡す方法開いているExcelを操作させる方法の2通りがあり、集計・整形の用途なら前者(ファイルを渡す)で十分です。CSVでもExcelファイルでも、作業フォルダに置いて頼めば読み取ります。

頼み方の例 — アンケートの自由回答をCSVから分類・集計する

研修でよく題材にするのが「アンケートの自由記述を分類して集計する」作業です。手作業なら1件ずつ読んで分類表に転記する仕事ですが、Codexには次のように頼みます。

スプレッドシート集計の依頼文例
アンケート.csv の「ご意見」列を分類・集計してください。

- 分類の定義は 分類ルール.md のとおり(それ以外の分類を勝手に増やさない)
- 元のCSVは変更しない。結果は 集計.xlsx として別名で保存する
- 集計.xlsx には「分類ごとの件数」のシートと、
  「分類ごとの代表コメント3件」のシートを作る
- 完了条件: 全件がいずれかの分類に割り当てられていること。
  分類に迷った回答は「要確認」にまとめて、件数と理由を報告する

ポイントは3つです。①元ファイルは変更させず、結果は別名で保存させる(やり直しが効く)。②分類ルールなど判断基準は口頭ではなくファイルで渡す(毎回同じ基準で分類される)。③完了条件を「全件が割り当てられている」のように数で確認できる形にする(できたかどうかを人が判定できる)。

この3点は売上集計でも在庫表の突き合わせでも同じで、集計に限らず「データを扱う依頼」全般の型になります。依頼文の組み立て方の基本はCodexの使い方を参照してください。

プラグインを2つつなぐと「一括生成」ができる

スプレッドシートを読むだけでなく、別のツールへ書き込む側もつなぐと、作業が一段まとまります。当社の実例では、参加者一覧のスプレッドシートを渡し、Canvaの名刺テンプレートに1人ずつ流し込んで名刺を一括生成させました。「一覧表を読む」「テンプレートに書き込む」という2つの操作を、人が間に立たずにCodexが連続で行う形です。連携先を増やすほど権限の管理が重要になるので、Codexのセキュリティの「狭く始めて広げる」考え方とセットで進めてください。

深掘り② 秘書業務・タスク管理 — 「1回の依頼」から「毎朝届く」へ段階を踏む

「秘書のように使いたい」というご要望も多くいただきます。実現の仕方は1つではなく、3段階に分けて進めると失敗しません。

  1. 1手元のファイルで、今日の優先順位を出させる — TODOメモ・議事録・案件フォルダを作業フォルダに置き、「期限が近い順に今日やることを並べて、判断が要るものだけ印を付けて」と頼む。連携設定は不要で、今日から始められます
  2. 2メールの下書きを任せる — 問い合わせ文と過去の返信例を渡し、「この文体で返信案を3つ」と頼む。送信は必ず人が行い、Codexは下書きまでに留めます
  3. 3定期実行で「毎朝の要点まとめ」にする — 上の2つが安定したら、スケジュール機能で毎朝決まった時刻に動かし、予定・未返信・期限の近いタスクを1枚にまとめて届けさせる。OpenAI公式のユースケース集でも「仕事のチーフ・オブ・スタッフ」として、メール・カレンダー・チャットのプラグイン連携を前提に定期的にチェックさせる形が紹介されています(2026年8月時点)

順番を守る理由は2つあります。1つは、メールやカレンダーとの連携は権限を伴うため、何をどこまで任せるかを自分の手で確かめてから広げるべきだから。もう1つは、秘書業務は「自分にとって何が優先か」という判断基準を言葉にしないと機能しないため、まずファイル相手に判断基準を育てるほうが早いからです。

判断基準が固まってきたらAGENTS.mdに書いておけば、毎回説明しなくても同じ基準で動きます

最初の1件は「自分に決定権がある雑務」から

秘書業務でも集計でも、当社が最初の題材としておすすめするのは、日程調整の候補出し・請求書の作成・自分の資料の下ごしらえなど、自分の判断だけで進められて、失敗しても困らないけれど、できたら確実に楽になる仕事です。いきなり最重要の業務に手を出すのは、入社初日の新人に基幹業務を任せるようなもの。1件成功させてから広げるほうが、結果的に早く進みます。

資料作成・ファイル整理は、それぞれの解説記事へ

10選の④資料作成と⑦ファイル整理は、本記事では深掘りせず個別記事に委ねます。資料作成は「PowerPointを開かず、HTMLで作らせてPDFで配る」という当社の方式と、PowerPoint形式が必要な場面の使い分けをCodexで資料作成で解説しています。

ファイル整理は、散らかったフォルダの整理手順(計画→承認→実行の2段階)を同記事で、整理後の恒常的な置き方(生データと整理済みデータの2階建て・索引づくり)をCodexのコンテキスト設計で扱っています。

向く仕事・向かない仕事の見極め方 — 4つの基準と、業務の分解

研修で最も多くの方が詰まるのは、ツールの操作ではなく「自分の業務のどれをCodexに任せればいいか分からない」という段階です。当社では次の4つの基準で候補を選ぶようお伝えしています。

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基準向く仕事向かない・後回しにする仕事
頻度と手順毎週・毎月発生し、手順がある程度決まっている年に1回で、毎回やり方が違う
失敗したときの影響失敗しても困らないが、できたら確実に楽になる取り返しがつかない(送信・削除・入金など)
材料元になるファイル・過去の成果物がある材料が人の頭の中にしかない
できばえの判定「全件分類されている」「数字が合う」など客観的に確認できる「いい感じに」「かっこよく」など主観で決まる

4つ目の「主観で決まる仕事」は、向かないと切り捨てる必要はなく、チェックできる条件に翻訳できれば任せられます。「いい感じにまとめて」ではなく「決定事項・宿題・期限の3見出しで、各項目は1行以内」のように書き換えるのがコツです。

候補が出てこないときは、業務を「工程」に分解する

「議事録作成」のように業務名で考えると、それが何の作業で成り立っているかが見えず、頼み方も決まりません。たとえば議事録作成は「録音する→書き起こす→決定事項と宿題を抜き出す→体裁を整える→関係者に共有する」の5工程に分かれます。

このうち書き起こし・抜き出し・体裁の3工程はCodexに任せられ、録音と共有は人が行う——と工程単位で分けると、任せる範囲と頼み方が同時に決まります。1日の業務を朝から順に書き出し、それぞれを工程に割ってみてください。

この棚卸しの位置づけと進め方は非エンジニアのCodex活用(4ステップ)で詳しく解説しています。

成果が出ている進め方の共通点 — 研修・導入支援の現場から

同じCodexを使っても、業務が変わる方と「便利そうだったが使わなくなった」方に分かれます。当社の研修・導入支援で見えてきた、成果が出ている進め方の共通点は次の3つです。

  1. 11件目の失敗で判断しない — 最初の依頼は、材料不足や指示の曖昧さでたいてい期待どおりになりません。うまくいかなかった理由を伝えて頼み直すことを数回重ねると、あるところから急に精度が上がります。多くの方が2〜3回で見切ってしまうのが、いちばんもったいないところです
  2. 2自分が知っていることを、Codexにも渡す — 「部下に情報を渡さないまま頼めば間違えるに決まっている」のと同じで、渡すか迷った資料は渡す。材料の質が成果物の質の上限を決めます。置き方はコンテキスト設計を参照してください
  3. 3うまくいった頼み方を、個人の工夫で終わらせない — 毎回守らせたいルールはAGENTS.mdに、繰り返す手順はSkillsに落とし、安定した業務は定期実行へ。この順で仕組みに昇格させると、チームの誰が使っても同じ品質になります

当社自身も、SNS発信・動画台本・経理・議事録整理といった日常業務の多くをCodexをはじめとするAIエージェントに任せており、オウンドメディアの週次アクセスレビューやコラム記事の定期公開は定期実行で運用しています。「人が指示する→AIが作業する」から「AIが定期的に動く→人が確認する」へ、少しずつ比重を移していくのが業務活用の到達点です。

自社の業務ではどこに効くか — 当社のCodex研修・導入伴走支援

本記事の10選は、あくまで一般解です。成果を出すために本当に必要なのは、貴社の業務を棚卸しし、「どの業務から始めると効果が大きいか」を設計することです。

当社のCodex研修・導入伴走支援では、事前ヒアリングで業務を棚卸しし、実業務を題材にした研修と、その後の仕組み化(AGENTS.md・Skills・定期実行)までを一体でご支援しています。

研修の形態や選び方はCodex研修とはにまとめました。「うちの業務だと何ができるのか」という段階のご相談も、無料相談で承っています。

Codexを組織に定着させたい企業様へ。AI Orchestraの法人研修・導入支援をご覧ください。