結論:その感覚は正しい。公式ガイドが「確認して止まりやすい」と書いている

OpenAIのGPT-6 Astra公式ガイドは、Astraを「より効果的な協働者」と位置づけたうえで、追加の入力で結果が大きく変わりうるときは、利用者に質問する可能性が高いと説明しています。日常的な不足は手元の文脈から補い、結果を左右する点だけ質問する、という整理です。

さらに公式は、AstraがSkillsやAGENTS.mdなどのファイルに書かれた指示に、以前より敏感であるとも書いています。曖昧な指示や矛盾する指示があると、早い段階で作業を止めることがある、という注意まで添えられています。

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使っていて感じること公式ガイドの説明
言われたことしかやらない意図と作業範囲を指示と文脈から推定するよう、明示的に促すことを推奨
すぐ確認してくる結果を左右する入力が足りないとき、質問する傾向が強い
以前より融通が利かなくなったSkills・AGENTS.mdの指示に敏感。曖昧・矛盾があると早めに止まる
小さな修正でもテストが多い作業完了前の検証が徹底的で、小さな作業では範囲が広がりやすい

この記事の立ち位置

当社はClaude CodeとCodexの両方を自社の業務に組み込み、両方の法人研修を提供しています。以下はOpenAI・Anthropicの公開情報と当社の実感にもとづく整理で、両モデルを同じ課題で比べた性能実験の結果ではありません。

Astraの選び方や推論設定「極高」はAstraの導入記事、公式ガイドを企業の業務設計に落とし込んだ解説はAstraの企業活用ガイドで扱っています。この記事は、Claude Codeとの体感差に絞って話を進めます。

①体感差の正体は「賢さ」ではなく「既定の振る舞い」の差

Claude Codeの「よしなにやってくれる」感覚には、裏付けになる公開データがあります。Anthropicが2026年6月に公開した約40万セッションの分析では、利用者が下す判断は「何を作るか」の計画で約7割、「どう作るか」の実行では約2割でした。

同じ分析では、利用者の1回の指示に対してClaudeが平均およそ10のアクションを実行しています。「何を」は人が決め、「どう」はエージェントが決めるという分担が、典型的なセッションの構造として観測されているわけです。

ただし、これを「Claudeは勝手に動く性格だ」と読むのは早計です。Anthropic自身がプロンプトの公式ガイドで、最新のClaudeは精密な指示追従のために訓練されており、「変更案を出して」と頼むと提案だけで止まることがあると説明しています。

そのうえでAnthropicは、既定で実行に寄せたいなら「提案ではなく実装する。意図が不明なら最も有用な行動を推定して進める」という趣旨のシステム指示を足すよう案内しています。つまり「指示に忠実で、必要なら実行寄りに調整する」という性質は、両社のモデルに共通しています。

では体感差はどこから来るのか。当社の見立ては、Claude Codeは製品として実行寄りの土台が最初から組まれているのに対し、Astraはモデルの既定が「日常的な不足は補うが、結果を左右する曖昧さは確認する」側に振られているという重なりです。Astraには、その既定をどこまで動かしてよいかをまだ渡していないだけ、と考えると次の手が見えます。

②AGENTS.mdに「自律的な実行方針」を1回だけ書く

公式ガイドは、Astraをより自律的に動かしたい場合の指示文をサンプルつきで示しています。要点は、利用者の意図と作業範囲を推定して行動に寄せること、意図した目的が完了するまでやり切ること、可逆な作業・読み取り・レビューや修正には許可を求めないことの3つです。

「〜できますか」「〜したい」「手伝って」のような依頼表現も、作業の指示として扱うよう明示できます。毎回の依頼文に書くのではなく、AGENTS.mdに1回書いておくのが当社のおすすめです。以下は、公式の要点を日本語の業務向けに書き直した作例です。

AGENTS.mdに追記する「自律的な実行方針」の作例。確認が必要な行為は自社の業務に合わせて書き換えます
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## 自律的な実行方針

指示を文字どおり実行することだけを目的にせず、会話の文脈から
本来の目的・意図・期待する完成状態を推定して進めてください。

目的の達成に必要な作業は、一つひとつ指示されていなくても
自分の判断で進めてください。次は原則として確認せずに実行します。

- ファイル・コード・関連箇所の調査と原因の特定
- 目的の達成に必要な周辺の修正、明らかな不整合やバグの修正
- テスト・動作確認などの検証
- やり直しがきく変更

問題を1つ指摘されたときも、その箇所だけを直して終わらず、
本来の目的が達成されているか周辺まで確認してください。

「ここまで行いました。続けますか?」と途中で止まらず、
依頼された目的が完了するところまで進めてください。

確認が必要なのは次の場合だけです。

- 判断によって最終結果が大きく変わる場合
- 削除・上書きなど、やり直しがきかない操作
- 外部公開・送信・デプロイ・課金など、影響が外に出る操作

迷ったときは、確認するより合理的な仮定を置いて前に進み、
仮定した内容を最後の報告に明記してください。

置き場所は、すべての案件に効かせたいならグローバルのAGENTS.md、案件ごとに変えたいなら作業フォルダのAGENTS.mdです。Codexはグローバルのファイルから作業フォルダへ向かって順に読み込み、現在地に近いファイルの指示が優先されます。読み込む合計サイズには上限(既定32KiB)があります。

グローバルのAGENTS.mdは、ChatGPTデスクトップアプリ(Codex)の「設定 > パーソナライズ」のカスタム指示欄から編集できる同じ1ファイルです。詳しくはカスタム指示とAGENTS.mdの関係と、AGENTS.mdの書き方をご覧ください。

自律を上げるほど、止める線を明文化する

作例の「確認が必要な場合」を削らないでください。Astraは指示に忠実なので、進めてよい範囲を広げた分だけ、公開・送信・削除・課金のような戻せない操作の前で止まる条件をはっきり書く必要があります。自律の方針と安全の線引きはセットで運用します。

③依頼文は細かく書きすぎない。「目的・制約・完成条件」で渡す

Astraは指示に忠実なので、手順を細かく書くほど、その手順が作業範囲の境界として読まれやすくなります。「Aを直して、Bをこう変えて、Cは触らないで」と書けば、途中でDの不整合に気づいても、Dを作業範囲外として扱いやすくなります。

Claude Codeに「この画面、ちょっと使いづらいから直して」と言う感覚でAstraを使いたいなら、手順ではなく、目的と制約と完成条件を渡すのが相性のよい書き方です。何を達成すれば終わりかが決まっていれば、そこまでの道筋はAstraが自分で判断できます。

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Claude Codeでの言い方Astra向けの言い換え
この画面、使いづらいから直して初見でも迷わず操作できる状態にする。既存デザインは大きく変えない。必要な周辺修正は自分で判断して実施する
このエラー直しといてエラーを解消し、同じ原因の箇所が他にないか確認して直す。完成条件は再現手順で再発しないこと
資料の数字、合わせておいて元データと資料の数字をすべて照合し、差異は根拠つきで修正する。完成条件は合計と内訳が一致すること
手順ではなく目的・制約・完成条件で渡す依頼文の例
目的:この申込画面を、初めての人でも迷わず最後まで操作できる状態にしてください。
制約:既存のデザインは大きく変えない。入力項目は増やさない。
判断:目的の達成に必要な周辺の修正は、自分で判断して実施してください。
完成条件:入力から送信完了まで通しで動作確認が済んでいること。
報告:変えた箇所と、その理由を最後にまとめてください。

完成条件は必ず残します。「何でもよしなに」と丸投げするのではなく、終わりの状態だけを人が決めて、途中の判断を任せる形です。この考え方はCodexのプロンプトの書き方で解説した「完了条件(Done when)」と同じで、Astraでも変わりません。

④急に融通が利かなくなったら、既存のAGENTS.mdとSkillsを疑う

Astraに切り替えてから、以前は気にならなかった場面で止まるようになった。そう感じたら、モデルより先に手元のAGENTS.mdとSkillsを疑ってください。公式は、モデルが参照できるファイルの指示を点検することを「強く推奨」しています。

以前のモデルでは読み飛ばされていた「作業の前に必ず確認する」「変更は最小限に」といった古い一文が、Astraでは文字どおり守られて、確認待ちの原因になることがあります。指示が矛盾していれば、公式の説明どおり早めに止まります。当社が点検で見るのは次の3点です。

  • 進める指示と止める指示の矛盾:新しく足した自律方針と、以前からある「必ず確認」の一文が同居していないか。
  • 古い承認条件:担当者や保存先が変わったのに、以前の手順のまま「〇〇に確認してから」と残っていないか。
  • Skills同士の競合:似た作業を扱うSkillsが2つあり、片方が慎重な手順、もう片方が自動実行になっていないか。

なお、公式ガイド自身は「点検用の依頼文」を示していません。人が点検することを勧めたうえで、AGENTS.mdやSkillsに入れておく文を2つ挙げています。1つは指示の優先順位を決める文、もう1つは止まったときに、原因になったSKILL.mdの場所・該当する指示・適用した理由を示させる文です。

公式の2つの指示を、当社の運用向けに広げた作例。グローバルのAGENTS.mdに入れておくと、止まった理由と再開に必要なことがその場で分かります
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## 指示の優先順位

利用者の指示は、Skillに書かれた指針より優先します。
利用者の明示的な指示とSkillの指示が食い違う場合は、利用者の指示に従ってください。

## 作業を止めて確認を求めるときの報告

未完了の作業を止めて利用者の返答を待つ場合は、次を簡潔に示してください。

1. 止めた操作
2. 停止の根拠
   - 指示が原因:実際に読んだファイルのパス・見出し・該当する文の原文
   - ツールや権限が原因:実際のエラー・拒否された内容
   - 情報不足が原因:不足している具体的な情報
3. 明示的に止めるよう書かれていたのか、自分の解釈で止めたのか
4. 再開に必要な最小限の確認・操作

止める前に、すでに与えられた承認と指示の適用範囲を確認してください。
止めた作業に依存しない独立した作業は進めてください。
根拠を確認できない場合は「未確認」と書き、理由を推測で作らないでください。

公式は、まずSkillsやAGENTS.mdなど、モデルが読むファイルを事前に点検することを強く推奨しています。そのうえで、実際に止まった場合には、原因になったSKILL.mdと該当する指示をその場で特定させる方法も示しています。

上の作例では、公式が挙げるSkillに加えて、ツール・権限のエラーと情報不足も原因として区別させ、明示された要求か自分の解釈かを分けて書かせています。事前の点検と、止まったときの原因特定を両方そろえる形です。

こう書いておく理由は、「Skillのせいで止めました」という自己申告だけでは、原文やエラーと照合できないからです。同じ停止が繰り返されたら、その指示の適用範囲や例外を直します。事前に点検を頼む当社の依頼文はAstraの企業活用ガイドに載せています。

⑤「聞いてくる」の一部は、モデルではなく承認モードの設定

確認待ちのすべてがAstraの性格とは限りません。Codexには承認モードがあり、既定のAutoでは作業フォルダ内の読み取り・編集・コマンド実行は承認なしで進み、フォルダ外の編集やネットワークアクセスで承認を求めます。Read-onlyにしていると、編集やコマンドのたびに確認が入ります。

「何をするにも聞いてくる」と感じたら、まず今の承認モードがRead-onlyになっていないかを確認してください。この場合はAGENTS.mdを直しても変わりません。各モードの範囲は公式の承認とセキュリティの説明に整理されています。

また、公式によるとAstraには安全監視の仕組みがあり、危険と判定された振る舞いを検知するとタスクを一時停止することがあります。これもモデルが迷って止まったのではなく、別の仕組みによる停止です。

承認をなくしたいからといって、サンドボックスも承認も外すFull accessは公式が非推奨としています。自律の度合いはAGENTS.mdと依頼文で上げ、安全の仕組みは残す。これが当社の勧める組み合わせです。

教材としての整理:Claude CodeとCodex+Astraの任せ方の違い

当社の研修では、両ツールの違いを機能表ではなく「雑に渡したとき、どこまで補完してくれるか」と「最初に何を渡しておくべきか」で説明しています。Astraは能力が低いのではなく、日常的な不足は文脈から補いつつ、結果を左右する曖昧さでは勝手に仮定せず確認する傾向が強い。だから最初に「どこまで任せてよいか」を与えます。

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Claude CodeCodex+GPT-6 Astra
目的だけ雑に渡したとき「どう実現するか」をかなり補完して進める結果を左右する不明点は確認して止まりやすい
最初に整えること戻せない操作の前で止まる線を明文化するAGENTS.mdに自律的な実行方針を書き、確認が要る線も明文化する
依頼文の書き方目的中心でも通りやすい目的・制約・完成条件で渡す。手順の詳細化は境界になる
止まったときの確認先権限モードと指示ファイル承認モード、AGENTS.md・Skillsの矛盾、安全監視

非エンジニアの部署にCodexを配るなら、上の自律的な実行方針を最初から共通のAGENTS.mdに入れて配布することを勧めます。「いい感じに全部やって」を期待する人ほど、既定のAstraでは物足りなく感じやすいからです。両ツールに共通する考え方はCodexのハーネスもあわせてどうぞ。

株式会社AI OrchestraのCodex研修・導入伴走支援では、貴社の実業務を題材に、AGENTS.mdに何を書き、どこまで任せ、どこで止めるかを組織の共通ルールとして整えます。Claude Codeとの併用や使い分けの相談にも、両方を使う立場から対応しています。

Astraに任せる範囲を組織で決めたい企業様へ。実務の題材でAGENTS.mdと依頼の型を整える法人研修・導入伴走支援を提供しています。