本記事の情報の鮮度について
本記事は当社が実機(Mac+iPhone)で確認し、OpenAI公式のRemote connectionsドキュメントとも照合した内容です。画面の文言やメニューの位置はアップデートで変わる可能性があります。
Remoteでできること — 2つあります
接続が終わると、ローカルのパソコンでChatGPTデスクトップアプリ(Codex)が起動している状態であれば、次の2つができるようになります。
- 1スマホから新しいセッションを開始する
- 2ローカルPCで開始したセッションをスマホからリモート操作する
実務で効いてくるのは1つ目です。外出先で思いついた仕事を「デスクに戻ってから」に先送りせず、環境変数もファイルも接続済みツールも揃ったローカル環境で、その場から実行させられます。
この価値についてはスマホを起点にローカルPCのCodexを動かすで詳しく書いています。本記事は、そこへ至るまでの設定手順に絞ります。
前提 — パソコンの電源とアプリの起動
Remoteは、クラウド上で動く仕組みではありません。スマホから手元のパソコンを遠隔操作する仕組みなので、操作される側のパソコンが起動していて、ChatGPTデスクトップアプリ(Codex)が動いている必要があります。
外出する日は、パソコンを閉じずにアプリを起動したまま出かける——これが唯一の運用上の前提です。逆に、パソコンを閉じた状態でも動かしたいなら、それはCodex cloudの役割になります。
接続手順 — 全11ステップ
作業はパソコン側から始めます。途中でスマホに持ち替えるので、両方を手元に置いた状態で進めてください。
- 1デスクトップアプリの設定>接続から「追加」をクリックする
- 2「始める」をクリックする
- 3「chatgpt.comで続行」をクリックする(※ここで一度止まります。対処は次章)
- 4デスクトップアプリに戻ると画面が変わっているので、「許可」をクリックする
- 5QRコードが表示されるので、これをスマホのカメラで読み込む
- 6スマホアプリ側が接続画面になっているので「続ける」をクリックする
- 7同じアカウントでログインする
- 8「承認」をクリックする
- 9スマホアプリで接続完了の表示になったら設定完了
- 10今後はスマホのChatGPTアプリで「Remote」を開き、セッションの開始や継続ができる
- 11デスクトップアプリの表示が「接続されました」に変わる
つまずきポイント — ステップ3で先へ進めなくなる
ここが本記事でいちばんお伝えしたいところです。ステップ3で「chatgpt.comで続行」をクリックすると、未ログインの組み込みブラウザが開くだけで、そこから先へ進めません。手順どおりに操作しているのに止まるので、設定ミスを疑ってしまう場面です。
当社の検証環境では、ChatGPT側で多要素認証(MFA)が有効になっていなかったことが原因でした。同じ状態で止まった場合の対処は次のとおりです。
- 1組み込みブラウザではなく、普段使っているブラウザでChatGPTを開く
- 2設定>セキュリティとログイン>多要素認証(MFA)のいずれかをオンにする
- 3デスクトップアプリに戻ると画面が切り替わっているので、ステップ4(「許可」をクリック)から再開する
MFA以外で止まる場合に確認すること
Remoteの認証要件はアカウントやワークスペースによって異なります。MFAを設定しても進めない場合は、パソコンとスマホが同じChatGPTアカウント・ワークスペースを使っているか、組織で必要なSSOやパスキーの認証が完了しているか、管理者がRemote Controlを許可しているかも確認してください。
ChatGPT Businessなどの法人ワークスペースでは、管理者がリモート操作を許可していないと、スマホの「リモート」に「ワークスペース管理者によって無効にされています」と表示され、この手順に入れません。管理者側の設定(ブラウザの「ワークスペースの設定 > 権限とロール」)とBusiness固有のつまずきはChatGPT BusinessでCodexモバイルを有効にするにまとめています。
接続後 — スマホの「Remote」から使う
接続が完了すると、スマホのChatGPTアプリのRemoteに接続したパソコンが現れます。ここから新しいセッションを始めるか、パソコンで進行中のセッションを開いて続きを操作します。デスクトップアプリ側の表示は「接続されました」に変わります。
使い始めてから気づく点として、スマホから出す指示は、デスクで出すときよりも短くなりがちです。移動中に長文を打つのは現実的ではないので、AGENTS.mdに前提やルールを書いておくと、スマホからは「あの案件の提案書、たたき台まで進めておいて」程度で通るようになります。Remoteの快適さは、事前の仕組み化がどれだけできているかに比例します。
面白い設計 — QRコードはスマホと1台のパソコンを結ぶ
CodexのRemoteで面白いのは、QRコードが単にChatGPTアカウントへスマホを登録するためのものではない点です。
OpenAIのRemote connections公式ドキュメントでは、QRコードはそのスマホと、そのホストPCをペアリングするものと説明されています。2台のパソコンを操作したいなら、スマホと1台目、スマホと2台目をそれぞれ接続します。
たとえば、会社のデスクトップ、持ち歩くノートPC、常時起動する専用Macがある場合、それぞれが別の接続先になります。スマホに「自分のCodex環境」が1つだけ現れるのではなく、仕事を実行するパソコンそのものが並ぶ設計です。どのパソコンのファイル、認証情報、MCP、Skills、ブラウザ設定を使うタスクかを、接続先を選ぶ段階で意識できます。
スマホでも、パソコンごとにタスクを管理できる
複数のパソコンを接続していると、スマホのRemote画面で接続先のパソコンを切り替え、そのパソコン上のプロジェクトやチャットを選べます。厳密には、すべてのタスクを好きな条件で並べ替える「ソート」機能というより、まず実行場所となるパソコンを選び、その中のタスクを管理する構造です。
表は横にスクロールできます →
| 接続先 | スマホから見える仕事 | 使われるローカル環境 |
|---|---|---|
| 会社のデスクトップ | 社内案件のプロジェクトとチャット | 会社PCのファイル・認証情報・ツール |
| 持ち歩くノートPC | 外出用のプロジェクトとチャット | ノートPCのファイル・認証情報・ツール |
| 常時起動する専用PC | 長時間動かす調査・自動化タスク | 専用PCに用意した実行環境 |
この区切りは、「どのパソコンで実行されるタスクか」をスマホでも意識し、会社PCで行う仕事と個人PCで行う仕事の混同を減らすための表示上の補助になります。ただし、PCごとの表示はアクセス制御ではありません。ホスト側でも、利用するプロジェクト・認証情報・権限を必要最小限にし、サンドボックスと実行承認を適切に設定する必要があります。
Claude Codeとの違い — Codexはパソコン、Claude Codeはセッションが入口
Claude Codeにも、スマホやブラウザからローカル環境を操作するRemote Controlがあります。
現在の公式仕様では、Claude Code側でRemote Controlを有効にしたセッションが、スマホのClaudeアプリにあるCodeのセッション一覧へ現れます。オンラインのローカルセッションにはパソコンのアイコンと緑の状態表示が付き、名前を指定しなければパソコン名を含むセッション名が自動生成されます。
表は横にスクロールできます →
| 観点 | Codex Remote | Claude Code Remote Control |
|---|---|---|
| 接続・管理の入口 | 接続したパソコン(ホスト)を選び、その中のチャットを開く | Remote Controlを有効にしたセッションをCodeの一覧から開く |
| QRコードの役割 | スマホと各パソコンをペアリングする | 起動中のRemote Controlセッションをスマホで直接開く |
| 複数PCの見分け方 | 接続先のパソコンを切り替える | パソコンのアイコン・状態表示・セッション名で見分ける |
| スマホ起点の新規ローカル実行 | 接続したパソコンを選んで開始できる | サーバーモードまたはDispatchを使えば開始できる |
つまり、どちらもスマホからローカルPCを動かせますが、画面の整理軸が少し違います。Codexはどのパソコンで動かすかを先に選びやすく、Claude Codeはどのセッションを開くかが入口です。
Claude CodeもサーバーモードやDispatchではスマホ起点の新規タスクに対応しているため、「Claude Codeは開始済みチャットの続行だけ」と覚えるのは、現在の仕様では正確ではありません。
Remoteとクラウド実行の使い分け
「スマホから動かす」だけを見ると、Remoteとクラウド実行は似ています。決定的に違うのは、どこで処理が動き、何に触れるかです。
表は横にスクロールできます →
| Remote(スマホ→ローカルPC) | Codex cloud(クラウド実行) | |
|---|---|---|
| 処理が動く場所 | 手元のパソコン | クラウド上の実行環境 |
| パソコンの電源 | 起動+アプリ起動が必須 | 閉じていても動く |
| 触れるもの | 手元のフォルダ・環境変数・接続済みツールをそのまま使える | GitHubに上げたリポジトリの複製のみ |
| 向いている場面 | 移動中に、いつもの環境で仕事を進めたい | 夜間や不在時に、無人で動かしておきたい |
どちらが優れているという話ではなく、手元の資産を使いたいならRemote、時間で動かしたいならクラウドという住み分けです。両方の全体像はCodex Cloud(Web版)とスマホ活用にまとめてあります。
組織で使うなら — 接続端末の扱いを先に決めておく
Remoteを業務で使う場合、技術的な設定より先に決めておきたいのがどの端末からの接続を許すかです。前述のとおり、接続したスマホは業務用パソコンに対して読み書きができる立場になります。個人所有の端末を許すのか、業務端末に限るのか——ここを曖昧にしたまま配ると、後から整理するのが難しくなります。
実務では、(1)接続を許す端末の範囲、(2)多要素認証の方式、(3)退職・端末紛失時に接続を解除する担当と手順、の3つが最低限の出発点です。加えて、端末ロック、ホスト側の最小権限、サンドボックス、実行承認、ログ・監査、扱ってよいデータの範囲を、既存の端末管理・情報セキュリティ規程と整合させてください。
当社のCodex研修・導入伴走支援では、こうした運用ルールの雛形も含めてお渡ししています。機能の設定方法だけでなく、社内で配れる状態にするところまでが支援の範囲です。
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