連携すると何ができるか — 読み取りと書き込みで分けて見る

AnthropicはMicrosoft 365の公式コネクタを提供しており、Claude CodeからOutlook・Teams・SharePoint・OneDriveの中身を扱えます。できることは「読み取り」と「書き込み」で明確に分かれていて、書き込みは組織側で有効にした場合だけ使えます(2026年8月時点)。

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サービス読み取り(既定)書き込み(組織が有効化した場合)
Outlook メールメールの検索・スレッドの要約・やり取りの整理下書き作成・送信・転送、分類やルールの管理
Outlook 予定表予定の検索・空き時間の確認予定の作成・更新・削除・出欠の返答
Teamsチャット・チャネルの会話や会議まとめの検索なし(投稿や設定変更はできない)
SharePoint / OneDriveサイト・ライブラリ横断の文書検索と読み取り(Word・Excel・PowerPoint・PDF・テキスト系)ファイルの作成・更新

実際に当社の環境でClaude Codeを起動すると、コネクタのツールとして「メール検索」「予定検索」「空き時間の検索」「SharePoint検索」「Teamsチャットの一覧・検索」といった読み取り系が並びます

つまり最初の一歩は「Claude Codeが自社のMicrosoft 365を検索して読める状態」を作ることで、送信や更新はその先の段階です。

他の連携先の全体像はClaude CodeとMCP連携できるツール一覧にまとめています。

OneNoteとメール添付ファイルは対象外

2026年8月時点で、OneNoteの内容は読み取れません。また書き込みツールでは添付ファイル付きのメールを作成できません。添付が必要な送信は、本文だけAIに作らせて人が添付して送る運用にします。

接続手順 — claude.aiでつなぐと、Claude Codeにも自動で現れる

Notionなど多くの連携先はターミナルの claude mcp add で登録しますが、Microsoft 365は少し違います

Anthropicがホストする公式コネクタのため、接続はClaudeのWeb版(claude.ai)の設定画面で行い、同じアカウントでログインしたClaude Codeに自動で反映される仕組みです。

Claude Codeの /mcp から直接ログインしようとしても、claude.aiで接続するよう案内が出ます(Microsoft側が受け付けるリダイレクト先がclaude.aiに固定されているため)。

  1. 1Microsoft Entra管理者の一括同意 — 会社のMicrosoft 365テナントの全体管理者(Global Administrator)が、Claudeのアクセスを一度だけ承認します。ここが済んでいないと、社員は誰も接続できません
  2. 2(Team / Enterpriseプランのみ)Claude組織オーナーの有効化 — Claude側の組織設定でMicrosoft 365コネクタをオンにします。メール送信などの書き込みツールを使うかどうかも、ここで決めます
  3. 3各自の接続 — 社員それぞれがclaude.aiの「カスタマイズ > コネクタ」からMicrosoft 365を接続し、自分の職場アカウントでサインインします
  4. 4Claude Codeで確認 — Claude Codeを起動して /mcp を実行すると、claude.ai由来の印が付いたMicrosoft 365が一覧に出ます。ここまでで設定は完了です

権限は委任(delegated)方式で、Claudeは接続した本人がMicrosoft 365上で見られる範囲しか見られません。共有設定で開いていないSharePointサイトや他人のメールボックスに、AI経由で届くことはありません。この点は稟議で必ず聞かれるので、後半の統制の節でも触れます。

前提条件と、つながらないときの確認

対象は法人向けMicrosoft 365(Entraテナント)で、個人用の@outlook.comや@hotmail.comのアカウントは接続できません。またClaude Code側でAPIキーやBedrock経由の認証を使っていると、claude.aiのコネクタは読み込まれません。/mcp に出てこないときは /status で認証方式を確認し、claude.aiのサブスクリプションでログインし直します。

業務ワークフロー例 — メール・会議・資料の3場面

接続直後にありがちなのが「メールを要約して」を数回試して終わることです。効果が出るのは、毎日・毎週の決まった流れに組み込んだときです。当社の研修で設計することが多い3場面を挙げます。

1. 朝のメール仕分けと返信下書き

「今朝までの未読メールを、返信が必要/確認だけ/不要に分けて一覧にして。返信が必要なものは、過去のやり取りを踏まえた返信案を作って」と頼むと、Outlookを検索してスレッドを読み、案まで出します。送信ではなく下書きまでをAIに任せ、最後の確認と送信ボタンは人が押す運用が、始めやすく事故も起きにくい形です。

依頼文の例(Claude Codeにそのまま入力)
今朝8時までに届いた未読メールを確認して。
1. 「返信が必要」「目を通すだけ」「不要」の3つに分けて表にする
2. 返信が必要なものは、そのスレッドの過去のやり取りを読んだうえで
   返信案を作る(敬語・結論から・3行以内)
3. 送信はしない。案は私が確認してから自分で送る

2. 会議前の準備メモ

「明日の14時の打ち合わせについて、予定表の招待内容、参加者との直近のTeamsチャット、SharePointにある関連資料を集めて、論点と確認事項を1枚にまとめて」——予定表・Teams・SharePointの3つを横断して1回で準備が済みます

会議後の議事録づくりはClaude Codeで議事録を作成する方法で扱っているので、前後をつなげると会議まわりの作業が一本の流れになります

3. 散らばった資料の横断検索と報告書の下書き

「A案件に関する見積書・提案書・議事録をSharePointとOneDriveから探して、経緯を時系列で整理して」のように、フォルダをまたいだ資料探しはAIの得意分野です

集めた材料から提案書やスライドを起こす工程は提案書作成スライド作成の記事に続きます。

なおExcelファイルの中身を集計・転記する作業は、コネクタで読むより手元にファイルを置いて処理する方が確実で、その手順はClaude CodeでExcel作業を自動化する方法にまとめています。

「メール送信」まで任せるか — 書き込みツールの線引き

書き込みツールは便利ですが、送ってしまったメールは取り消せません。Anthropic側もその前提で設計しており、2026年8月時点で次のような仕組みになっています。

  • 組織側で明示的に有効化しないと使えない — Team / Enterpriseでは、以前からコネクタを使っていた組織は書き込みが既定でブロックされており、オーナーが組織設定でオンにし、Entra管理者が追加された権限を承認して初めて使えます。Enterpriseではカスタムロールで「一部のユーザーだけ」に絞ることもできます
  • 送信・転送・予定の作成や更新は毎回承認 — これらの操作には「常に許可」が用意されておらず、実行のたびに確認が入ります。加えてユーザーごとに送信数・宛先数などの上限があります。全自動で送り続ける使い方は仕組み上できません
  • Teamsは読み取り専用 — 投稿や設定変更はできません。Teamsへの投稿文はAIに作らせ、人が貼り付ける形になります
  • ツール単位で「確認必須」「ブロック」を指定できる — Team / Enterpriseでは組織がコネクタのツールごとに設定でき、Claude Codeもその設定を起動時に読み込んで従います。「検索は自由、送信は必ず確認、予定の削除はブロック」といった段階設計が可能です

当社の推奨は、最初の1〜2か月は読み取りだけで回し、「返信案の精度が信頼できる」と現場が感じてから、下書き作成→(必要なら)送信の順に開けていく進め方です。開ける範囲はpermissions設定と、上記の組織側のツール設定の両方で管理します。

法人利用の統制ポイント — 稟議で聞かれる4点

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確認事項2026年8月時点の公式情報
社員が見られない情報にAIが届かないか権限は委任方式のみ。接続した本人のMicrosoft 365上の権限の範囲内で動き、SharePointの共有設定やDLP(情報漏えい防止)ポリシーはそのまま効く
データがAnthropic側に溜まらないかコネクタは問い合わせのたびに取得し、ファイル内容をキャッシュしない。データはテナント内に留まる(会話に表示された結果は会話履歴として残る)
止めたいときにすぐ止められるか個人はコネクタ設定から切断、組織はオーナーが組織設定で無効化、テナント全体はEntra管理センターで権限を取り消せる。いずれも即時反映
誰が何をしたか追えるか接続の有効・無効はClaude組織設定で管理し、Claude Codeの利用状況の可視化はOpenTelemetry連携などで別途設計する(Microsoft 365上の操作は本人のアカウントで実行される)

利用状況の可視化の設計はClaude Codeの監査ログ・利用状況の可視化で解説しています。

あわせて「AIに接続してよいツールとアカウント」を社内利用ガイドラインに1行加えておくと、個人アカウントでの野良接続を防げます

連携の先にあるもの — 「探す・読む・下書きする」を仕組みにする

Microsoft 365は多くの会社にとって、社内情報の量が最も多い場所です。ここがClaude Codeから読める状態になると、「担当者しか知らない経緯」がAIの参照元になり、引き継ぎや問い合わせ対応の質が変わります

次の段階は、朝のメール仕分けや週次の資料整理を定期実行に載せて、人が指示しなくても回る形にすることです(コネクタはclaude.aiのログインに紐づくため、接続済みの端末で動かす前提で設計します)。

自社のMicrosoft 365環境に合わせた接続設計(管理者同意・書き込みの線引き・ツール別の統制)から、部門ごとのワークフロー構築までは、Claude Code法人研修実際の環境を使いながら支援しています

Claude Codeを組織に定着させたい企業様へ。AI Orchestraの法人研修・導入支援をご覧ください。