この記事の根拠
OpenAI公式ドキュメントのProjects and chatsとChatGPT desktop app、およびChatGPTデスクトップアプリの表示文言と当社の研修教材での操作確認を根拠にしています。画面の文言や並びはアプリの更新で変わることがあります。
結論 — Codexのプロジェクトは「作業フォルダの登録」、業務の単位で作る
先に結論です。Codexでいうプロジェクトとは、パソコンの中の作業フォルダをCodexに登録したものです。公式ドキュメントはこれを「ローカルプロジェクト」と呼び、チャットがそのフォルダのファイルを読み書きできるようにする仕組みだと説明しています。
当社が勧める使い方は3行で言えます。業務の単位でフォルダを分ける。成果物ごとにチャットを分ける。資料とルールはフォルダに貯める。この記事では、その手順と理由を順に見ていきます。
Codexのプロジェクトとは — ChatGPTの「プロジェクト」と何が違うか
ややこしいことに、同じアプリの中に「プロジェクト」と呼ばれるものが2種類あります。ChatGPT(Chat・Work)のプロジェクトと、Codexのローカルプロジェクトです。公式ドキュメントによると、デスクトップアプリのプロジェクト一覧には両方が並びます。
表は横にスクロールできます →
| 比べる点 | ChatGPTのプロジェクト | Codexのローカルプロジェクト |
|---|---|---|
| まとめるもの | 関連するチャット・アップロードしたファイル・指示・接続した情報源 | パソコンの中の1つ以上のフォルダと、そこで進めたチャット |
| 手元のファイル | フォルダへ直接はアクセスしない。使う資料はアップロードするか接続する | 登録したフォルダの中のファイルを直接読み、書き換えられる |
| 向く仕事 | 調査・文書作成など、材料を渡して進める仕事 | 手元の資料を読みながら作る・直す仕事、同じ業務を繰り返す仕事 |
| 始める場所 | 左上で「ChatGPT」を選び、プロジェクトを開く | 左上で「Codex」を選び、プロジェクトを開く |
本記事で扱うのは後者、Codexのローカルプロジェクトです。以下では単に「プロジェクト」と書きます。作成画面でプロジェクトのタイプを選ぶときは、「パソコン上のファイルを編集、実行、テストします」と説明されているローカルを選びます。Chat・Work・Codexの3つの違いそのものは、CodexとChatGPT Workの違いで整理しています。
プロジェクトを作るべきとき、作らなくてよいとき
公式ドキュメントは、仕事が今後も続く・成果物が複数出る・同じファイルや情報源に依存するときはプロジェクトを作り、それ自体で完結する仕事はプロジェクトなしで始めてよい、と案内しています。
業務で使うなら、ほとんどの仕事は前者です。議事録づくりも請求書の突き合わせも、来月また来ます。入力欄の「プロジェクトを選択」には「プロジェクトなしで作業」という項目もあります。フォルダを選ばずに始めたときに何が起きるかはフォルダを選ばないCodexの使い方で解説しています。
作業フォルダを作る・既存フォルダを登録する
手順は2通りです。これから資料を貯める新しいフォルダを作るか、すでに資料が入っているフォルダをそのまま登録するか。初めての方には前者を、すでに業務フォルダが整っている方には後者をお勧めしています。
新しいフォルダを作ってプロジェクトにする
- 1Codexで新しいチャットを開き、入力欄にある「プロジェクトを選択」から「新しいプロジェクト」を選ぶ
- 2「最初から始める」を選び、プロジェクト名を入力して保存する。名前は半角英数字(例:
seikyu_work)にしておくと、後で自動実行やスクリプトに渡すときに困りません - 3これでCodexが読み書きする作業フォルダが決まります。以降のチャットは、このフォルダを起点に実行されます
作ったフォルダはどこにあるか
アプリの操作で作ったフォルダは、当社の確認ではMacなら「書類」、Windowsなら「ドキュメント」の配下にできます。Finderやエクスプローラーで開いて、ここに資料を入れていきます。見つからないときは、プロジェクト名でパソコン内を検索してください。
すでにあるフォルダを登録する
同じ「新しいプロジェクト」から「既存のフォルダーを使用」を選ぶと、Finder(Mac)やエクスプローラー(Windows)が開きます。資料やナレッジを入れてある業務フォルダを選べば、そのフォルダがそのままプロジェクトになります。初めて開くフォルダでは「このフォルダーを信頼しますか?」と確認されるので、自分の業務フォルダなら「フォルダーを信頼する」を選びます。
登録する前に、そのフォルダの中身をCodexに見せてよいかを確認してください。Codexは登録したフォルダの中のファイルを読み、書き換えられます。契約で持ち出しが制限されている資料が混ざっているなら、先に別のフォルダへ分けてから登録します。線引きの考え方はCodexのセキュリティにまとめています。
プロジェクトの切り替えと、フォルダの追加・変更
プロジェクトを複数作ると、サイドバーに並びます。切り替えは、サイドバーで別のプロジェクトを選んで新しいチャットを始めるか、入力欄の「プロジェクトを選択」で選び直すだけです。作業フォルダはプロジェクトに紐づき、新しいチャットはそのプロジェクトのプライマリフォルダで始まります。
フォルダを追加する・プライマリを変える
公式ドキュメントによると、プロジェクトのメニューから「プロジェクトを編集」を開き、「フォルダーを追加」を押すと、1つのプロジェクトに複数のフォルダを登録できます。Codexは登録したすべてのフォルダのファイルを読み書きできます。
複数登録したうちの1つがプライマリ(主フォルダ)です。新しいチャットはプライマリで始まり、Codexが AGENTS.md・Skills・config.toml を自動で見つけて読むのもプライマリだけです。変えるには、フォルダを指して「プライマリに設定」を選びます。
2つ目以降のフォルダは、検索・読み取り・編集には使えますが、ルールファイルは自動では読まれません。アプリのツールチップにも「Codex はプライマリフォルダーで AGENTS.md、config.toml、スキルファイルを探します」と示されています。置き場所と読み込み順はAGENTS.mdの解説で説明しています。
「作業フォルダを変更したい」ときの2つの選び方
- 同じ業務で、見る範囲を広げたい — 既存のプロジェクトを編集してフォルダを追加する。関連する資料が別の場所にあるときの使い方です
- 別の業務を始めたい — 新しいプロジェクトを作る。公式ドキュメントも、関係のない仕事は別のプロジェクトに分けて作業の文脈を絞るよう案内しています
なお、公式ドキュメントには、別のパソコンにつないで使う「リモートプロジェクト」は現在フォルダ1つだけに対応すると記されています。複数フォルダの構成は、手元のパソコンで使う前提で組んでください。スマホから手元のCodexを操作する方法はRemoteの設定手順を参照してください。
片づけ方 — ピン留め・名前変更・アーカイブ
- プロジェクトをピン留め — よく使う業務をサイドバーの上に固定します。ピン留めは表示位置を変えるだけで、Codexが読む範囲は変わりません
- チャットの名前を変える — 「10月分 請求突合」のように成果物が分かる名前にしておくと、後から探しやすくなります
- 終わったチャットはアーカイブ — プロジェクトのメニューから、そのプロジェクトのチャットをまとめてアーカイブできます。戻すときは設定(データコントロール)の「アーカイブ済みチャット」から復元します
業務ごとにフォルダを分ける — 当社が勧める5つの原則
ここからは運用の話です。プロジェクトを作ること自体は数分で終わりますが、どう分けるかで、半年後の使い勝手が大きく変わります。当社が研修で伝えている原則は5つです。
原則1 業務の単位でフォルダを分け、見せる範囲が違えば別プロジェクトにする
「請求業務」「採用」「月次の経営会議」のように、繰り返し発生する業務の単位でフォルダを分けます。同じ会社の仕事で共通ルールを使い回したいなら、1つのプロジェクトの中に業務ごとのサブフォルダを作る形で十分です。
一方、公式ドキュメントは関係のない仕事や、チャットごとに見せる範囲を限定したい場合は別のプロジェクトにするよう案内しています。顧客ごとに資料を分けて持つ事務所や受託業では、顧客単位で別のプロジェクトにするのが安全です。
原則2 1チャット=1成果物
同じプロジェクトの中でも、成果物ごとにチャットを分けます。公式ドキュメントは、1つの結果ごとに別のチャットを始めるとやり取りが散らからず、関連する仕事はプロジェクトがまとめてくれると説明しています。前の仕事の続きは、そのチャットを開けば再開できます。
原則3 最初は1業務だけ。育ってから広げる
いきなり全業務のフォルダを設計する必要はありません。まず1つの業務で「指示が短くなった」を体験するのが近道です。資料の集め方と貯め方はCodexに渡すコンテキストの集め方で解説しています。
原則4 ルールはAGENTS.md、手順はSkillsに貯める
フォルダに貯めるのは資料だけではありません。毎回守らせたいルールは AGENTS.md に、繰り返す手順は Skills に書いておくと、次の依頼が短くなります。書き方はAGENTS.mdの解説とSkillsの作り方を参照してください。
原則5 見せてよい資料だけを入れる
プロジェクトに登録したフォルダは、Codexが読み書きできる範囲そのものです。顧客との契約や社内規程で扱いが決まっている資料は、入れる前に線引きをします。どこまで自分で進めさせるかの設定はCodexの承認と権限にまとめています。
分け方の例として、1業務から始めて会社全体へ広げたときの構成を示します。番号付きのフォルダ名にしておくと並び順が固定され、「02の中に保存して」のように指示しやすくなります。
ai_work/ … プロジェクトとして登録するフォルダ
├── AGENTS.md … このフォルダ全体で毎回守るルール
├── .agents/skills/ … 繰り返す手順(Skills)
├── 01_会社情報/ … 会社概要・表記ルールなど共通の前提
├── 02_請求業務/ … 最初に始めた1業務
│ ├── 元データ/
│ ├── 完成版/
│ └── 手順メモ.md
├── 03_採用/ … 2つ目以降は、回り始めてから足す
└── 04_月次会議/よくあるつまずきと対処
表は横にスクロールできます →
| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| 作ったはずのプロジェクトやチャットが見当たらない | Codexの履歴とChat・Workの履歴は別の一覧です。左上の切り替えが「Codex」になっているか確かめます |
| フォルダの外にあるファイルを読んでくれない | プロジェクトを編集してフォルダを追加するか、その資料をプロジェクトのフォルダへ移します。範囲外を読ませない設計は安全装置でもあります |
| 別フォルダに置いたAGENTS.mdが効かない | 自動で読まれるのはプライマリのフォルダだけです。ルールはプライマリに置くか、プライマリを切り替えます |
| フォルダを選ばずに始めてしまい、成果物がフォルダに保存されない | プロジェクトなしのチャットでは、成果物はチャットの中に提示されます。保存したい仕事はプロジェクトを選んで頼み直します |
| アーカイブしたチャットを戻したい | 設定(データコントロール)の「アーカイブ済みチャット」から復元できます |
どれも故障ではなく、プロジェクトとフォルダの関係を知っていれば短時間で解決するものです。これ以外の症状はCodexのトラブルシューティングにまとめています。
まとめ — フォルダの分け方は、業務の棚卸しそのもの
Codexのプロジェクトは、作業フォルダの登録です。業務の単位でフォルダを分け、成果物ごとにチャットを分け、資料とルールをフォルダに貯める。この3つを守れば、使うほど依頼が短くなります。
実際にやってみると、フォルダをどう分けるかで手が止まる方が少なくありません。それは自社の業務が何と何に分かれているかを、改めて言葉にする作業だからです。この棚卸しと、分けたフォルダにルール・手順を貯める設計は、当社のCodex研修・導入伴走支援で実業務を題材にご支援しています。
Codexを組織に定着させたい企業様へ。AI Orchestraの法人研修・導入支援をご覧ください。





